「コンゴ民話」に日本アニメを足すとどうなるか アフロ系アニメ「アフリメ」を始めた彼らの思い

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コンゴの民話をアニメ化した『ムフィンダ』(写真:N LITE提供)

日本のアニメの壮大な魅力と、コンゴ民話の不思議な精霊をかけ合わせるとどうなるだろうか。今年2月に日本法人を設立したばかりのアニメ制作会社N LITEが手がける「アフリメ(アフロ系アニメ)」の第1弾の『MFINDA(ムフィンダ)』がそれだ。同社は1月に英語版と日本語版映画のビジュアルを公開した。

『ムフィンダ』はコンゴ民主共和国出身のコンゴ系アメリカ人のペイシェンス・レキエン氏が、自身の家族の体験やコンゴ文化、先祖と精神世界とのつながりを描いた物語。この中で少女オディは過去に飛ばされ、ナサンビという少女と出会う。彼女たちが家に帰りたければ、MFINDA(森という意味)に足を踏み入れ、Nkisi(呪術師が用いる神像)を取り戻すため悪霊に立ち向かわなくてはならない。

知られざるアフリカ系の人々の物語を伝える

今年2月に日本法人が立ち上がったばかりだというN LITEだが、同社のCEOには『ラストサムライ』『カンフー・プリンセス・ウェンディー・ウー』に出演した経験を持つ俳優兼プロデューサーの小山田真氏、社長にはゲーム開発などを手がけるアトラスの猪狩茂氏が名を連ねている。

同社はムフィンダを皮切りに、アフリカン・ディアスポラ(アフリカから自発的あるいは強制的に故郷から離散した状態にある人)たちのいまだ知られていない物語たちに生命を与え、アフリカ大陸からアメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアにわたる物語を制作していく。日本法人のCEOを務める小山田氏によると、すでに日本のアニメプロデューサーやスタジオなどを連携しているという。

それにしてもなぜいまアフロ系アニメなのか。

N LITEの創設者で会長を務めるクリスティアーノ・テリー氏によると、同氏と小山田氏がアフリメの構想を得たのは昨年3月のこと。アニメの分野でも多様化、多文化化を進める必要があると感じた2人は意気投合し、急ピッチで話を進め昨年4月にはアフリメの商標登録をした。

もともと1990年代生まれで、「幽☆遊☆白書」や「ドラゴンボールZ」「ポケットモンスター」などのアニメを観て育ったというテリー氏は、「そこで自分たちの作品の核となるテーマは何かと考えたときに、アフリカン・ディアスポラからインスピレーションを受けたり、物語が引き出されるアニメを指すアフリメという言葉を商標登録した」と話す。

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