日経平均への「下落圧力」がジワジワ強まってきた 楽観すぎたアメリカ株の調整に日本株も追随へ
このマネーストックの代表となるM2(現金と預金の額の合計)は、昨年12月に1.3%減と落ち込んだ。M2統計は1959年1月から算出されているが、前年比マイナスはその統計開始以来、史上初めてのことだ。かつて経験したことがない資金減にもかかわらず、アメリカの経済が拡張し続け株価が上がり続けるという事態は、とても想定しがたい。
そのため、日経平均はアメリカ株安とドル安円高による押し下げ効果を受けて、やはり年央には2万4000円あたりに落ち込むと予想している。
NYダウの下値予想値である3万ドルは直近終値から8.6%の下落、日経平均は同じく12.6%の下落見通しとなる。日経平均のほうが予想下落率が大きい形だが、それは最近まで日本株の下値が堅すぎたことの「ツケ」だと考えている。
日銀の金融政策はあまり気にすべきではない
さて、最近筆者が主催するセミナーなどでは「日本銀行の金融政策がわからないと日本株の見通しが立たない」といった質問が多く寄せられる。まるで、日銀が日本の株式市場のすべてを支配しているかのようだ。
昨年12月以降の「日銀騒ぎ」からそう考えるのかもしれない。だが、ごく短期的な市況の振れはともかく、日本の金融政策をそれほど気に病む必要はないだろう。
新総裁就任が見込まれる植田和男氏は、24日の衆議院での所信聴取(参議院聴取は27日予定)では、「現在、日銀が行っている金融政策は適切」「金融緩和を継続し、経済をしっかりと支える」と語り、現状の政策の大枠を継続する旨を述べた。その一方で「副作用などの無理が少ない形を考えて緩和の継続を図ることになる」とも発言して、今の金融政策をまったく変えなくてよいわけでもないという意図をにじませた。
一連の発言内容からは、急激ではなくゆっくりとした(結果として日本株や為替相場には大きな影響が生じにくい)政策変更が想定される。
また、仮に「イールドカーブコントロール」を撤廃したとしても、“自然体”での国内10年国債利回りの理論的な水準は0.9~1.0%との試算もあり、2%や3%になるわけではない。
もちろん、ごく短期的には国債の投機的な売りが膨れ上がり、一時的に長期国債利回りが跳ね上がる展開は否定できない。それでも、筆者が見込んでいるように、これからアメリカの景気悪化によって同国の長期国債利回りが低下し、ドルが対円で下落すれば、それも日本の長期金利を抑制する方向で働くだろう。
ごくごく短期的な売買を行うならともかく、中長期的な株式株式投資においては日銀の政策動向に過敏になるべきではない。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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