ボルボ「EX90」に映る安全への並々ならぬこだわり 気候変動、循環型経済、倫理も重視している

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「私のチームはサステナビリティ戦略をまとめているだけで、実際には会社の全員が参加しているといえます。サステナビリティの目標を実現するためには、社内のさまざまな分野に焦点を当てた人材が必要で、例えば研究開発部門にはサステナビリティ・センターと呼ばれるものがあります。これは、世界的に有名なセーフティ・センターと同じ位置づけです。また、調達、設計、人事、財務の各部門にサステナビリティ担当者を配置しています。小売店ネットワークの排出量削減チームも社内のすべての部署に置いています。

私のチームの使命は、全従業員が気候変動対策、循環型経済、倫理的で責任あるビジネスのそれぞれに関する非常に高い目標について、どのようにすれば達成できるかを考えるようにすることだと思います。

先ほど申し上げた、2025年までに自動車のライフサイクルCO2排出量を40%削減し、2030年までに完全な電気自動車メーカーになるためには、業界トップレベルの循環型経済が必要です。例えば、私たちのクルマは2025年までに再生プラスチックを25%、再生鉄を25%、再生アルミニウムを40%使用することになっています。新しいEX90は、プラスチックの15%を再生プラスチックまたはバイオベース材料とし、鉄の15%、アルミニウムの25%をリサイクルするという目標に向けて順調に前進しています」

「買い替えるより使い続けたほうがいい?」の問いに

日本では、古いものを使い続けるほうが環境に優しいのではないかという議論がある。例えば、自動車を買い替えるよりも、1台をずっと使い続けたほうが環境に優しいのではないかと。環境的な持続可能性と物質的な持続可能性の間には矛盾があり、時に対立する。自動車会社は、すでに市場に出回っている中古車をどう扱うかを考えなければならないはずだ。そのような事態に対処する計画はあるのだろうか。

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「この質問に答えるには、2種類のアプローチからなるバランスが必要だと思います。1つめは、人々は常に自動車を必要としているということです。

移動手段というのは、人類の基本的なニーズであり、今後もなくなることはないでしょう。しかし、個人的な移動と共有された移動の間のバランスが必要になるはずです。つまり、既存の資源を最大限に活用するカーシェアリング・サービスなどです。

2つ目のポイントは、おっしゃるとおり、自動車が寿命に達したとき、自動車会社がより大きな責任を負う必要があるということです。ボルボ・カーは、自動車とバッテリーに責任を持ち、材料がリサイクルされ再び生産ラインに載るよう強く意識しています。

例えばEX90の場合、ディーラーと協力して車両を追跡し、最初の耐用年数が終了するまでに車両を返却し、リサイクルできることを確認します。世界中の主要企業とリサイクル契約を結び、電池の寿命が尽きたときに確実にリサイクルできるようにしています。電池に含まれるコバルト・ニッケル・リチウムなどの材料を抽出し、アルミニウムや鉄も同様に抽出し、生産の流れに再び乗せることができるのです」

自動車がスピードと移動の自由を生み出す傍らで、生命の危険や環境汚染といった負の側面ももたらすことに対して、ボルボは昔から責任感を抱き、それを論理的に解決しようとしてきた。おそらく車重は2.5トンを超え、7人の乗員に快適性をもたらす大きな乗り物を生み出すにあたって、これまで以上に強い意識を持って最善を尽くそうとしていることがふたりの証言から読み取れた。

田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、PARCFERME編集長

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たなか せいじ / Seiji Tanaka

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。近著に「奥山清行 デザイン全史」(新潮社)。モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長を務める。

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