ボルボ「EX90」に映る安全への並々ならぬこだわり 気候変動、循環型経済、倫理も重視している

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ヤコブソン氏がボルボで安全性の開発を追求してきた経緯について聞いてみた。

「私が入社した1989年当時から、ボルボは衝撃保護装置のパイオニアで、ちょうど側面衝突保護装置(SIPS)が新発売された時期でした。その後数年で、耐衝撃性インテリア、世界初の胸部保護サイドエアバッグ、インフレータブル・カーテン、『WHIPS』などを開発しました。WHIPSはヘッドレストと乗員の関係性を考えて開発され、怪我の軽減に大きな効果をもたらしました。

その後10年間は、ご存じのようにオートブレーキや自動運転支援システム、カメラやレーダーに焦点を当てて開発されました。そして今、私たちは安全性の新時代に突入していると感じています。これまで以上に多くの可能性を手に入れ、ドライバーをサポートする必要があります」

そしてボルボは、EX90で子供の車内置き去りを防ぐシステムを導入した。

「私たちは何年も前から、子供たちが車内に放置されてしまうという状況に対処するための解決策を見出そうとしてきました。例えばアメリカでは、1998年以降に900人が自動車の車内で死亡しています。特に熱中症の事例が参考になります。平均して毎年39人が車内で熱中症になり、そのほとんどは子供です。

私が把握している数字が正しければ、子供が車に残されているのを親が知っていたケースは15%を占めます。そして残りの30%は、子供が自分から車に残る選択をしたケースです。私たちが目指しているのは、こうした意図的に車に残された子供たちのために、電気自動車であるこの車の空調システムで安全性を確保することです。どんな理由であろうと、車内に誰かが残されたときはこのシステムが作動します」

乗員検知にレーダー方式を選んだ理由

EX90の乗員検知システムはレーダー方式である。この方式を選んだ理由は興味深いものだった。

「他の手段を検証したところ、チャイルドシートに座っている子供や、ブランケットに隠れていると検知されないといった課題に直面しました。レーダーは、胸式呼吸の小さな動きも検知することができるため、障害物があっても問題のない最適なソリューションです。システムは常に作動しており、エンジンを切って車から離れようとする際、車内の人やペットの有無を感知します。また、車内に誰かが残っている場合には、ドアに鍵がかからない仕様になっています。アラームを発するのではなく、ドアをロックすることができない機能なのです。

EX90の場合、レーダーは、オーバーヘッドコンソールとリーディングランプに3つ設置しています。それに対応するセンサーは、各ドアのすぐ上にあるリーディングランプに1つずつ、計4つ装備されます。レーダーとセンサーで合計7つです」

(写真:ボルボ)
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