ボルボ「EX90」に映る安全への並々ならぬこだわり 気候変動、循環型経済、倫理も重視している
テンプラー氏は、ボルボ・カーの具体的な目標を3つ挙げてくれた。
1つめは気候変動対策についてだ。 「気候変動対策では、2030年までに完全な電気自動車会社になり、2040年までにバリューチェーン全体で気候変動に影響を与えない企業になることを目指しています。バッテリーEVはICE(内燃エンジン)車より生産時に70%近く多いCO2排出量を生み出すと言われていますが、私たちのライフサイクル分析では、走行時の排出ガスとの合計においては、EVが充電に使う資源にかかわらずICE車より低い二酸化炭素排出量となります。
CEOのジム・ローワンは、2025年までに自動車のライフサイクルCO2排出量を40%削減するという目標を発表しました。これは、テールパイプ・エミッションだけでなく、オペレーションやサプライチェーンの排出量も削減するということで、2018年以降、順調に削減を進めています」
循環型経済と倫理
2つめは循環型経済について。これにはリサイクル素材のほか、カーシェアリングやサブスクリプション・サービスも含まれる。「私たちは、貴重な材料、鉱物、部品をより有効に活用する必要があります。そのためにはリサイクル素材を増やし、部品を再製造、修理して再利用し、材料の循環を作り上げることが必要です。
循環型ビジネスモデルでは製品をより有効に活用する必要があります。つまり、カーシェアリング・サービスやサブスクリプション・サービスが含まれます。2025年までに、この循環型経済の原則を採用することで、年間約10億スウェーデン・クローナ、米ドルに換算して年間約1億ドルを節約するだけでなく、年間250万トンの二酸化炭素排出を削減することを目指しています。循環型経済には、経済的な意味と環境的な意味があるのです」
最後の3つめは「倫理」。ボルボは倫理的で責任あるビジネスのリーダーにならなければいけない、とテンプラー氏はいう。
「まず、より多様で包括的な労働力を生み出します。調達活動においては、責任ある調達を優先し、材料や部品が環境と社会に与える影響を最小限に抑えます。持続可能な開発目標を達成するためには資金調達も不可欠ですが、EX90の資金の一部は5億ユーロの『グリーンボンド』によって賄われました」
テンプラー氏が責任者を務めるチームは15人ほどだそうだが、実際にはボルボ・カーのすべての社員がサステナビリティの担い手であるという。
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