新型アルト「10年ぶり快挙」も微妙と言えるワケ 発売1年で販売「6.7万台」が表す軽セダンの今
スズキの軽自動車「アルト」は、スズキにとっては特別な1台だ。1979年に登場した初代アルトのヒットは、当時あった「軽自動車は、もう終わり」という考えを吹き飛ばした。
軽自動車は1960年代に人気を集めたが、1970年代になって販売が激減。この先は、3輪トラックと同じように、消えてなくなる規格と考えられていたのだ。しかし、アルトのヒットにより軽自動車は復活。現在の日本の軽自動車隆盛につながる、重要な役割を果たした。
その後、アルトは、スズキのインド進出の先兵になる。インドでのスズキの拡大はすさまじく、ライバルが増えた現在もインド国内シェアのおよそ半分を維持。2023年1月には、インドでの累計販売が2500万台を突破した。
アルトは、国内外でその存在なくして語ることはできないほど、スズキに大きな貢献を果たしてきたモデルなのだ。
そんなアルトの最新モデルは、2021年12月22日に発売された9代目。発売から1年が経過したので、“1年通信簿”として販売状況などをチェックしていきたい。
シンプルな先代からキュートなスタイルへ
2014年に登場した先代モデル(8代目)は、新型プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用し、軽さを追求。見た目はシンプルで、中身の“味で勝負”というクルマであった。
現行の9代目では、プラットフォームを改良して継続利用しつつ、マイルドハイブリッドを追加して、「世代を超えて親しみやすく愛着のわくデザイン」としている。
室内空間は広くなり、燃費性能を高め(クラストップのWLTCモード、27.7km/L)、予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を全車に標準装備とした。先代からの技術を土台にさらなる新技術を追加し、室内空間を拡大。
さらにルックスをキュートなものとした。先代がプレーンなチーズケーキだとするならば、新型は甘いクリームをたっぷりとトッピングした苺ショートケーキのような華やかさだ。
では、その販売はどうであったのか。発売直後である2022年1月の販売台数は5277台で、前年同月比103.4%(全国軽自動車協会連合会調べ)。前年こそ上回るものの、目標とする月販6000台に届かない厳しいスタートとなった。
しかも、2月と3月こそ目標の6000台をなんとか超えるものの、4月の販売は5315台。正直、スタートダッシュは順調ではなかった。
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