ついに試走開始、フランス「新型TGV」成功する条件 実験線で耐久走行、2024年冬の営業運転目指す

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世界中の多くの高速列車が動力分散方式(電車)へと移行する中、TGVシリーズは現在も、数少ない動力集中方式(機関車による牽引・推進)を採用している。現状で最新型のユーロ・デュプレックスも動力集中方式で、両端の機関車部分には乗客が乗れないため、輸送効率面においてネックとなっていた。

ユーロ・デュプレックス
スイスへ乗り入れる現行の最新型「ユーロ・デュプレックス」(撮影:橋爪智之)

アヴェリア・ホライズンは、機器の効率的な配置や装置の小型化によって、機関車の全長を従来のユーロ・デュプレックス用機関車と比較して4mも短縮、客車も各車1mずつ短くすることで、編成全長をほとんど変えることなく中間に連結する客車を9両(デュプレックスは8両)へ増やすことに成功。1等・バー車両込みの編成で640~650席、2等モノクラスの低価格列車向けとしては最大で740席を設けることが可能となった。

また特筆すべき点として、車体間に台車を配置した連接車両でありながら比較的簡単に編成の組み換えが可能なため、それまで数日かかった客車の増解結を1日で行うことができ、需要に合わせて編成両数を変更することが可能となった。

なぜ「動力集中方式」を続ける?

こうした変更は、アルストムの高速列車史においては革新的な変化であったといえる。初代TGVであるTGV-SE型がデビューしてから42年、細かい仕様変更や最新機器の搭載といったアップデートはつねにされてきたものの、機関車と客車の基本的な寸法はほぼ変化なく、編成も特殊な運行条件下だった大西洋線を除いて、機関車2両が中間客車8両を挟むスタイルを貫いてきたためだ。

一方で、従来車はベースとなる構造が同じだったため、異なる車種で機関車と中間の客車をスワップすることも可能だったが、新型は基本構造が異なることから、それが不可能になることも意味する。

だが、動力分散方式が主流のこのご時世で、なぜ今も動力集中方式にこだわるのか。アルストムも動力分散方式の高速列車を開発していなかったわけではないが、結果として動力集中方式を採用せざるをえなかった事情があった。

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