1991年7月以降、金融政策は緩和に転じたにもかかわらず、マネーの動きは低迷している。これは1つには緩和政策が量を増大させるには一般的に時間がかかること。2つめには、今回に特殊な要因として、資産価格下落が激しすぎたために、企業の金融資産運用、あるいは土地による運用などを目的とした借り入れ需要が、容易なことでは上向かないためである。
その中で、実体経済は徐々に下降を続けるとともに、資産市場の問題が実体経済に大きな悪影響を及ぼす可能性も懸念され始めているというのが現状である。
ここでの金融政策論議は、より一層の緩和が必要かどうかというポイントに絞られる。その具体的内容は、公定歩合を含む短期金利をもっと引き下げるべきかどうかということになる。
もちろん、ベースマネーを大幅に増やすという選択もありえなくはない。図1にあるように、短期金利がゼロにほぼ等しいところまで下がれば、ベースマネー需要は短期でも大幅に増えると考えられるので、ベースマネー増大は可能であろう。
しかし、短期金利の大幅な低下だけなら、より少量のベースマネー供給で可能だし、それを上回るベースマネーが実体経済を強く刺激するという根拠も乏しい。
私自身はもう一段の金利引き下げが望ましいという漠然とした感想を持っているが、それが適当かどうかは過去1年の緩和策の効果のこれからの現れ具合、今後の財政政策の動向、これらも含めた実体経済の動向に依存する。
こうした点について最も情報を保有しているのは日銀であるから、日銀の意志決定に任せるしかないだろう。しかし、裁量的政策運営を任されている主体は、その結果に責任を持つ必要がある。ここでの緩和策が遅れて不況が深刻化しても、過度の緩和を行って資産価格や一般物価のインフレを発生させても、日銀は非難されるだろう。
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