日銀新総裁の植田氏は「ハト派」か「タカ派」か 内外に課題が山積、出口戦略はますます難題に

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日本銀行が推し進めた異次元緩和はさまざまな副作用が顕在化している(撮影:尾形文繁)

事前の予想を覆すサプライズ人事だった。

政府は2月14日、日本銀行総裁に経済学者の植田和男氏を起用する人事案を国会に提示した。当初は現日銀副総裁の雨宮正佳氏が有力視されていたが、同氏は政府の要請を固辞したもようだ。副総裁には現日銀理事の内田眞一氏、前金融庁長官の氷見野良三氏の人事案が示された。2期10年にわたった黒田東彦総裁の任期は、4月8日に満了する。

植田氏は東京大学理学部を卒業後、アメリカのマサチューセッツ工科大学経済学部大学院で博士課程を修了。東京大学経済学部長などを経て、2017年から共立女子大学で教授を務める理論家だ。一方で、1998年から2005年まで日銀の審議委員を務めており、優れた実務家という側面もある。

審議委員時代に注目を集めたのが「時間軸政策」の提言だ。将来にわたって金融緩和を維持すると公約し長期金利の低下を促す政策で、1990年代末の速水優総裁時代に日銀がゼロ金利政策を導入した際の理論的支柱となった。時間軸政策は今日では各国の中央銀行が導入する「フォワード・ガイダンス」の先駆けになったとも言われている。

「岩田・翁論争」では裁定役を務めた

人物評はどうか。前日銀副総裁でリフレ派の代表格である岩田規久男・学習院大学名誉教授は、当時の審議委員としての植田氏の行動を振り返る。

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