「インド留学」日本人学生にとって3つのメリット 最難関インド工科大学ハイデラバード校を視察

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同大学はこれまでJICAの支援のもと「日印産学研究ネットワーク構築支援(FRIENDSHIP)プロジェクト」という日本とインド間の研究や人材の交流を目的としたプロジェクトを推進してきており、フェーズ1としてIITH卒業生140名以上(2022年まで)が日本の大学院へ留学をしています。現在はフェーズ2(FRIENDSHIP2.0)の段階で、さらに日本の企業との産学連携や日本の大学・研究機関との学術協力を学内に設置されているジャパンデスクを中心に進めている状況です。インドから日本への留学は随分取り組みが進んでいることになります。

日本からインドのトップ大学への留学の可能性は

JICA本部での修了生と現役生の会合の写真(写真:IITH)

一方、日本からIITHへの留学に関しては、短期研修などを除いてほとんどない状況です。私が訪問した際も日本人留学生の姿はありませんでした。

今後IITを始めとするインドのトップ大学への日本人の留学の可能性はあるのでしょうか。

同大学で教鞭をとる片岡広太郎准教授は、日本からIITへの留学の可能性について次のように話します。

「(可能性は)非常に高い。IITハイデラバード校では、東京大学、立命館大学、北海道大学などからの短期グループ研修、交換留学において、すでに実施実績がある。IITとして留学生受け入れのシステムはあり、ハイデラバード校でも留学生を受け入れているが、同校において日本からの留学実績はまだない」

私も片岡先生と同意見です。今回いくつかの大学を視察し関係者からヒアリングした結果、条件付きで可能性は十分あると考えています。その理由は3つあります。

1つ目は、特にIITについていえることですが、世界の中でも優秀な工学系の学生と共に最先端の学問を学ぶことができる点です。インドにはIIT以外にもデリー大学(University of Delhi)、インド科学研究所(Indian Institute of Science)、ジャワハーラールネルー大学(Jawaharlal Nehru University)などトップ大学が数多くあります。それらの大学は入学の難易度がその他の海外のトップ大学より高く、在校生および卒業生は超優秀です。それらの学生と共に学び、卒業後に世界レベルで切磋琢磨しあえるのは人脈づくりの意味で大きな財産となります。

2つ目は、インドの「ジュガール精神」が学べる点です。

インド事情に精通した日印コンサルタントの丹治大佑氏はジュガール精神について次のように話します。

「ジュガール」とは、現状を受け入れて、与えられた環境や条件の中で解決策を見いだしていく思考法のこと。ある目的を達成しなければいけないとき、必ずしも必要な環境やモノが揃っているわけではありません。そのときに諦めるのではなく「ないなら、あるもので補っていく」という発想の転換を繰り返しながら目的を達成します。フレキシブルに対応することで、答えは無数に広がり、一見不可能に見えることを可能にする。つまりジュガールは、知恵と掛け合わせによって生みだす解決法でもあります。

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