アジア富裕層が吊り上げ、マンション急騰の脆弱 実需と乖離し、国内サラリーマンは手が届かず
首都圏の新築マンションの平均販売価格は6510万円(2023年1月、不動産経済研究所)で、日本人の平均年収461万円の14倍に達しています。住宅ローンの借入可能額は年収の7倍程度とされており、首都圏のマンションは、多くの人が借金しても買えない高嶺の花になっています。
タワーマンションに代表される高額物件を誰が買っているのでしょうか。パワーカップル(夫婦とも年収700万円以上のカップル)が注目を集めますが、主力は、相続税を節税したい日本の富裕層や投資対象にしている中国などアジアの富裕層です。
このうちタワーマンションを使った節税、いわゆるタワマン節税とは、相続税の財産評価は同じマンションなら階層の高低に関係なく一律なので、高額の高層階を購入すると、財産評価額を抑えられるという方法です。
高額物件の市場は、居住という実態経済の目的から離れて、節税や投機といったマネーゲームの主戦場になっており、1990年頃の昭和・平成バブルと同じ構図になっています。膨らみの大きさや地域的な広がりは昭和・平成バブルほどではないものの、明らかにバブルだと判断できます。
アジアの富裕層からの資金流入は続く
17世紀オランダのチューリップ・バブルに始まるバブルの歴史を振り返ると、大半のバブルが10年足らずで弾けています。とすれば、今回のマンションバブルも近く崩壊するのでしょうか。バブルを膨らました要因が変化するかどうかを確認しましょう。
1つ目の要因は、中国などアジアの富裕層からの投機資金の流入です。東京の不動産価格は、近年かなり上昇したとはいえ、アジアの主要都市と比べてまだまだ割安です。不動産経済研究所によると、東京都港区元麻布にある高級マンションの価格を100としたアジア主要都市の高級マンションの価格は、以下の通りです(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
そして、昨年からの円安で、海外の投資家から見た東京の不動産の割安感は、さらに強まっています。海外の富裕層は、魅力的な東京市場を簡単に見限るとは思えません。したがって、1つ目の「海外の富裕層からの資金流入」という要因は、今後も続きそうです。
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