経費控除問う裁判、生保職員が「一部勝訴」の意味 「合意ない」営業費負担は労基法違反との判決

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1月26日、京都地裁で生命保険業界の慣例に一石を投じる判決が言い渡された。営業経費のあり方を見直すきっかけとなるかもしれない。

1月26日、判決のあった京都地裁の周辺には雪が残っていた(記者撮影)

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生命保険会社の営業職員チャネルの慣例が変わるきっかけとなるかもしれない。

住友生命保険・京都支社の営業職員(50代、女性、以下Aさん)が、営業活動に伴う経費を賃金から控除するのは労働基準法違反だとして会社を訴えていた裁判の判決が1月26日に京都地裁であった。

京都地裁(池田知子裁判長)は、原告であるAさんの請求額236万円のうち、労基法違反などと判断した約34万円の支払いを会社に命じた。

Aさんの請求が一部認められたわけだが、裁判所の判決が「認容」と「棄却」で分かれたのは、給与からの控除について「労働者の合意があったのか、なかったのか」の判断が大きく影響している。

異議を申し立てた後は控除無効に

生命保険業界においては、営業職員チャネルを持つ生保会社は20社ある。このうち月額給与を固定給としているオリックス生命など一部の会社を除いて、ほとんどの生命保険会社が営業に関わる必要経費の多くを、営業職員の負担としている。

そうした中で、住友生命の営業職員のAさんは2019年10月に同社を提訴、控除された賃金の返還を求めて3年以上にわたって争ってきた。

次ページ後半の期間で「合意がなかった」とされた理由
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