「営業職員の販売モデルは非常にいいシステムだ」 インタビュー/第一生命社長 稲垣精二

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
拡大
縮小

生命保険大手・第一生命で相次ぐ営業職員による金銭詐取事件。事件の背景には何があるのか。稲垣精二社長を直撃した。

第一生命の稲垣精二社長は「新たな不祥事が出てくる可能性はゼロ、と言い切ることはできない」と語る(撮影:梅谷秀司)

特集「問われる保険営業」の他の記事を読む

金銭搾取事件の闇はどこまで深いのか――。
第一生命が2020年10月に公表した、山口県の元営業職員(89)による約19億5000万円の巨額詐欺事件。その後、和歌山県や福岡県、神奈川県のほか、北海道と長野県でも元営業職員らによる金銭搾取事件が相次いで明らかになった。
北海道のケースは、旭川支社の60代の元営業職員が契約者3人から654万円を、長野県のケースでは松本支社の70代の元営業職員が8人から合計4836万円をそれぞれだましとっている。2人の元営業職員はいずれも懲戒解雇となっているが、北海道は2012年から2018年まで、長野県のケースは2011年から2020年にかけてと、不正が長期間に及んでいることが特徴だ。
同社は現在、全契約者を対象とした伏在調査(他に同様の事案がないか調べること)に着手し、まずは出金を伴う手続きなど合計61万件を対象に調べた。北海道と長野県の2事案はこの調査によって発覚したもので、不正を働いた営業職員が所属している営業拠点は全国に広がっていることから、今後の調査次第では新たな不正事案が出てくる可能性もある。
営業職員による一連の不祥事に対して、同社の稲垣精二社長はどのように向き合っていくのか。営業職員チャネルの今後のあり方を含めて聞いた。

新しい不祥事の可能性はゼロとは言えない

――金銭不祥事に関する2020年12月末の記者会見で、稲垣社長は「今後も新たな不正が発覚するかもしれない」と言っていました。その後、2021年2月に北海道と長野で新たな不正が判明しました。

被害に遭った契約者の方々には本当に申し訳なく思っている。契約者貸し付けの利用者など、(これまでの不祥事案から考えて)リスクが高い層に対して個別通知や電話をする中で新たな事案が発覚した。今後は全契約者に対しての案内や確認作業を、2021年12月末の完了を目指して行っている。

次ページ顧客の信頼を逆手に取った
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
問われる保険営業
再燃するハローワーク前の「採用活動」
大量採用、大量離職に歯止めはかかるか
日本生命、コロナ禍でも「対面でアポイント」
募る感染拡大への不安
第一生命、営業職員「巨額金銭詐取」の深い闇
被害総額は20億円超、全契約の調査実施へ
ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
なぜ4万人も辞めていくのか
「営業職員の仕事と処遇が見合っていない」
明治安田生命社長が語る大量離職の根本原因
「金融庁は保険会社依存をやめよ」
元金融庁幹部が語る保険行政のあり方
生保レディ「大量採用&大量脱落」の悪循環
採用者数を減らして「質」を高めよ
日本生命、「ゴルフ会食」後に6人のコロナ感染判明
問われる生保トップ企業の危機意識
「営業職員の販売モデルは非常にいいシステムだ」
インタビュー/第一生命社長 稲垣精二
明治安田生命「営業職員の1割増」を目指す真意
永島英器・新社長が語る次世代型営業スタイル
金融庁、問題含み「外貨建て保険」規制強化の内幕
保険各社は過大な解約手数料を見直しへ
日本生命の営業職員、「パワハラ提訴」の一部始終
入社早々に嫌がらせ、ノルマ未達で契約終了に
第一生命に金融庁が立入検査、真意測る生保業界
昨秋の19億円詐取問題を受け検査、なぜ今ごろ?
金融庁、保険販売の指針改定方針にざわつく生保
公的保険の情報提供義務づけに首相補佐官の影
メットライフ生命、営業職員「7000万円詐取」の闇
20年超で被害者が8人、不正契約も130件判明
大樹生命でセクハラ、後を絶たぬ不祥事の連鎖
女性営業職員に男性上司がしつこくつきまとう
第一生命「大量退職問題」解決へ処遇改善の大ナタ
新人のノルマ廃止、月額給与も平均で6割アップ
中小企業の節税ニーズをつかみ、あの手この手
生保レディ、昇格しても固定給が下がる理不尽
正社員なのにノルマで契約終了、経費も負担
住友生命「営業職員の経費は自己負担」の不合理
菓子代やカレンダー代の負担は労基法違反か
住友生命の営業職員が告発する「支部長の横暴」
名義借り不正やパワハラはなぜ放置されるのか
金融庁が激怒、保険業界の「新営業指針」の甘さ
金銭詐取などの再発防止で問われる実効性
日本生命の営業部長、契約者から2億円詐取の疑い
「業務関連性ない」との判断に被害者は意気消沈
経費控除問う裁判、生保職員が「一部勝訴」の意味
「合意ない」営業費負担は労基法違反との判決
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内