この落ち込みの理由は何か。もちろん、さまざまな要因がからみあっている。コンビニとの競争や、ドラッグストアの台頭などは、よく指摘されるとおりだ。ここでは、ほかではさほど語られていない要因を2つ挙げたい。
理由①:店舗の老朽化
『週刊東洋経済』2014年4月26日号によると、ダイエーの店舗平均築年数は30年弱となっている。人間の年齢に当てはめると約30歳。つまり、私たちが立ち寄るダイエーは1980年代あたりに建ったものだと想像すると、だいぶ加齢した感じがあるだろう。なお、イオンリテール店舗平均年令は約20歳だ。2000年代前半は、10歳程度だったから、だいぶ老年化が進んでいることがわかる。
ところで、このGMS (General Merchandise Store)といわれる総合スーパーは、高度成長期に成長期を迎えた。しかし、その後に巨大な店舗を抱えたまま経営難に陥ったところが多い。マイカルやヤオハンも、そこに分類されるだろうし、同じくイオンが救った企業でもある。彼らは、高度成長期に発展したゆえに、店舗年齢30年のものが残ってしまった。
筆者は大阪のはずれで暮らしていたが、そういった地域ではダイエーしかなく、ある種のインフラとして機能しているところがある。改装はもとより、閉店もできないまま、ズルズルと加齢だけが進行した。
もちろん店舗を長年にわたって使い続けるのにはよさもあるものの、逆の意味では、目の前の利益確保を優先するための将来投資ができていなかったことでもある。実際に、イオンリテールでは、毎年数%ほどの店舗しか改装を実施していない。店内改装を行った店舗では売り上げが伸びる好循環が見られるが、残念ながら改装した比率は低い。
しかし、それにしても「店舗の老朽化」は第一要因に挙げるようなレベルのものだろうか。答えはイエスだろう。意外に思われるかもしれないが、「古い店」がある近隣に「新しい店」ができたとすると、ほとんどの場合、日本人は後者を選択する。
小売店は、デザインや品揃え、そして何より雰囲気、といった面でも新しさが必須なのである。なお、これを述べた書籍に『総合スーパーの興亡』(東洋経済新報社、三品和広著)があるが、ここでわかるのは日本人が小売店に求めるミーハーな姿だ。しつこいが重要なので繰り返す。日本人は新しい店が好きだ。よって日本の小売業は果敢に店舗をリニューアルし続けねばならない。
理由②:プライベートブランド充実の逆効果
また、このところ、プライベートブランド(PB)商品を揃えることで逆効果が生じていることを指摘しておきたい。固有名詞は省くが、筆者の住んでいる近隣スーパーが一斉にプライベートブランドを中心に品揃えした。すると筆者の妻や、周囲の評判はさんざんだった。特に子ども連れのお客を有す際は、子どもが行きたがる店舗づくりを志向する必要があるものの、キャラクターものお菓子の品揃えが半減以下になった。
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