「FRBは年内に利下げする」と決めつける人の死角 インフレは本当に早期に沈静化するのか?
いよいよ今年最初の金融政策会合であるアメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される(1月31~2月1日)。結果は日本時間2月2日の早朝に明らかになるが、市場関係者の間では連邦準備制度理事会(FRB)が利上げのペースを一段と減速、0.25%にするとの見方が確定的だ。
FRB高官は「利下げ」については誰も予想せず
すでにブラックアウト期間(政策決定会合のメンバーが金融政策について発言できなくなる期間)直前までの間で、多くのFRB高官は利上げのペースを0.25%に緩めることを支持する発言をしている。
セントルイス連銀のジェームス・ブラード総裁のように、「可能な限り迅速に5%を超えるに水準まで政策金利を引き上げるべきだ」という、タカ派的な意見もまだわずかながら残っている。また肝心のジェローム・パウエルFRB議長からは具体的な発言が出てこなかったこともあり、0.5%の利上げを継続する可能性もゼロではないものの、「市場にサプライズを与えないように行動する」という、これまでのパウエル議長のやり方を見る限り、今回は0.25%の利上げが決定されることになりそうだ。
もちろん、こうした利上げ幅縮小の流れができるきっかけになったのは12月のアメリカ消費者物価指数(CPI、1月12日発表)だろう。CPIの総合指数は前月比で0.1%の低下となり、小幅ながら2020年5月以来のマイナスとなった。前年比で見ても6.4%の上昇と、2021年10月以来の低い伸びを記録した。
これでCPIの前年比での伸びは、6カ月連続で前月を下回っており、すでにアメリカの市場では「インフレは過去のものになった」という見方が急速に強まっている。金利市場ではすでに今年後半にFRBが利下げに転じるとの見通しが織り込まれている。
もっともFRBの高官は、利下げなどの政策転換を誰一人として予想していない。多くは「インフレが簡単に終息することはなく、5%を超える水準にまで政策金利を引き上げ、それをかなりの期間維持する必要がある」との見方で一致しているのだ。
市場のインフレ早期終息論者などは、「FRBが見通しを誤ることはよくあることだ」と、こうしたFRB高官の意見を無視する形で年内利下げの見方を強めているが、本当にFRBは方針を大転換して利下げに進む可能性はあるのだろうか。
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