働き方改革が進まないのは「保護者のせい」は本当か、学校が発信するべきこと 忖度して萎縮、業務の見直しできない真の理由

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例えば、教職員の正規の勤務時間が何時何分から何時何分までか、知っている保護者はほとんどいないのではないでしょうか。ある公立小学校では、何度も保護者への説明会を開催しつつ、教職員の勤務時間に合わせた形で、児童の登校時間を遅らせることにしました。また、学校の管理外のトラブルは学校の責任ではない、保護者が対応していくことだということも、伝えていく必要があります(関連記事:勤務時間外の「保護者や近隣住民の電話」に学校はどこまで対応すべきか)。

児童生徒の命に関わるような緊急時や深刻ないじめ事案を除いて、保護者からの電話連絡や相談は、勤務時間外は原則受け付けないと言ってはいけないものでしょうか。医師でも、カウンセラーでも、あるいは市役所職員でも、よほどの緊急時を除いて、診察時間、勤務時間の中で対応することは当たり前です。

部活動も、休日のわずかな手当を除いて、ほとんど教員のボランティア、献身性に支えられていること、その体制にはさまざまな問題があり限界がきていること、教員は部活動指導のために採用・配置されているのではないことなどを伝える必要があります。ある公立中学校の校長は入学式の後でそうした説明をしたところ、部活動に関するクレームが激減しました。

これから、新1年生向けの説明会をするところも多いですし、また4月以降は入学式やオリエンテーション、PTA総会などが控えています。保護者の多くと接点がある、数少ないチャンスです。ここで紹介、提案したことのうち、よいと思ったことを始めてみてはいかがでしょうか。

(注記のない写真:Taka / PIXTA)

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
妹尾 昌俊 一般社団法人ライフ&ワーク代表理事、OCC教育テック大学院大学 教授

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せのお まさとし / Masatoshi Senoo

徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP研究所)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中。

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