
約8割の教頭が過労死ライン超え
全国の小中学校の副校長・教頭(以下、副校長・教頭をまとめて教頭と表記)のほとんどが過労死リスクの高い働き方を余儀なくされている。
こうしたことは、10年以上前から、少なくとも教育関係者(教職員、教育委員会、文部科学省など)の間ではよく知られていたことではある。だが、事態は一向に改善しないどころか、悪化しているところもある。

教育研究家、合同会社ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー、教育新聞特任解説委員。主な著書に『教師と学校の失敗学 なぜ変化に対応できないのか』(PHP新書)、『教師崩壊』(PHP新書)、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』(教育開発研究所)、『学校をおもしろくする思考法 卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)
全国公立学校教頭会によると、2021年の公立小中学校の教頭の通常日(行事前や特別な日を除く)の勤務時間は、11時間以上が約83%にも上る。1日11時間というと、月当たりの時間外勤務は70時間近く。土曜、日曜などに残業する人も多いから、こうした教頭の多くは過労死ラインとされる80時間を超えているとみたほうがよい。

1日13時間以上という人は、2年前よりは多少マシになっているとはいえ、直近でも約3割に上る。これは120時間以上の水準(1日5時間以上×24日と仮定した場合)で、いつ倒れてもおかしくないような働き方だ。数日前も、ある小学校教頭から「周りの教頭は朝7時から夜の9時、11時まで働いている人が何人もいる」ということを聞いたばかりだが、本当に心配だ。
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