50%が上位校「エシカル就活」を生んだ22歳の正体 SDGs時代、企業や学校が知るべき「若者の視点」

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2015年の国連総会で、30年までに達成すべき目標として掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)。日本でも目標実現に向けて、政府・自治体や企業、NPO、教育機関などが活動を本格化させている。そんな中、積極的に社会課題の解決に取り組む若者も増えている。Allesgood(アレスグッド)代表取締役CEOの勝見仁泰(かつみ・きみひろ)氏も、その1人だ。現役大学生でもある彼が手がけるのは、社会課題に取り組みたい学生と企業をマッチングする「エシカル就活」というサービス。そこにはどのような思いや狙いがあるのか。

学生が注目し始めた「エシカル就活」とは?

ここ数年、国内でもSDGsの認知が広がり、授業で扱う教育現場も増えた。そんな背景もあり、現在、年齢が若いほどサステイナビリティー(持続可能性)への感度が高いといわれる。その象徴の1つが、「エシカル消費」だろう。「エシカル」は英語で「倫理的、道徳上の」という意味。エシカル消費は、環境や人権、社会などに配慮した商品やサービスを選択する消費行動のことで、若い世代を中心に浸透しつつある。

そして今、一部の就活生の間で「エシカル就活」というサービスも注目を集め始めているのはご存じだろうか。社会課題に取り組みたい学生と、実際に社会課題に取り組む「エシカル企業」とをWeb上でマッチングする新たな採用プラットフォームだ。

Allesgood代表取締役CEOの勝見仁泰氏

このサービスを昨年11月からスタートさせたのは、Allesgood代表取締役CEOの勝見仁泰氏。現在22歳の大学4年生だ。社名は、ドイツ語の「Alles Gute」と英語の「All good」を掛け合わせた造語で、「三方よし」の意味を込めた。

勝見氏の実家は青果店。幼い頃から商いの仕組みを間近で見てきた影響で、自然と経済活動に興味を持った。「ビジネスは人々の幸福度を上げる、すばらしいソリューション」だと感じていたという。

だが、高校3年生の時にバックパッカーとして東南アジアを訪れ、ビジネスが気候変動や児童労働などの社会課題の元凶となっている負の側面に触れ、衝撃を受ける。産業構造への疑問が生まれ、ビジネスで社会課題を解決したいと思うようになった。

起業のきっかけは、就活で抱いた強烈な違和感

その後、大学時代に文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」を通じてドイツに留学し、途上国の特産品を活用した有機化粧品事業を始めたが、コロナ禍もあり頓挫。

大学時代、フィリピンにて伝統工芸の折り紙を活用した教育事業を立ち上げた経験も

帰国して、貧困、気候変動、地方創生といった社会課題の視点を持って就活を開始したが、今度は理想と現実とのズレに遭遇することになった。

「既存の求人サイトでは、業種や職種でしか仕事を探せません。僕は社会課題の解決に向けた自分なりのビジョンを持っていたのですが、そことマッチする進路がなかなか見つからなかった。もし社会課題の視点から仕事を探せたら、就活の幅も広がるだろうし、僕と同じような悩みを持った学生にも役立つのではと思いました」

実際、仲間に聞くと、意識の高い学生ほど同じような課題感を持っていた。そこで昨年8月、気候変動をテーマに企業と学生に向けたオンラインイベントを開催。すると、企業が4社、学生も150名ほど集まり、この場がきっかけでマッチングが成立したケースも生まれたという。勝見氏は、確かな手応えを感じた。

一方、自身の就活において、すばらしいと感じる企業との出合いも。パタゴニアやソフトバンクなどのインターンでは「地方創生の取り組みなど、とても勉強になった」(勝見氏)。しかし、「ここに入りたいというより、こうしたよい企業を増やしたい。まだ価値創造ができていない企業や、価値が学生に届いていない企業を支援したい」と思い、同年11月、新卒に特化した現在のサービス提供をスタートしたという。

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