台湾有事で日米が中国に打ち勝つ「4条件」とは何か 敵基地攻撃能力など日本の安保3文書改定に符号
第2は「台湾にウクライナモデルは存在しない」だ。第1の「地上軍の強化」とも関連するが、「アメリカ軍は戦時には、台湾防衛を決定した場合、速やかに直接戦闘に従事しなければならない」と提言した。
ウクライナ戦争では、アメリカと北大西洋条約機構(NATO)は直接兵力を投入せず、大量の機材や物資をウクライナに供給している。すなわち、「代理戦争」だ。報告は「中国は台湾を数週間あるいは数カ月間孤立させることができるため、ウクライナモデルを台湾で再現することはできない」と判断。台湾有事では、代理戦争では勝てないという認識を示した。
アメリカ軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は2022年5月、「台湾は防衛可能な島」として、「台湾有事」が発生してもアメリカ軍は派兵しない「代理戦争」の検討を示唆した。(「自分たちで守れ? 台湾有事でも派兵しない米国」参照)。台湾では、アメリカの台湾防衛に懐疑的な世論が潜在的に多くあるが、台湾有事ではアメリカ軍を中心とした総力戦でないと勝利できないとの判断だ。
在日米軍基地の使用も
第3は「アメリカは日本国内の基地を戦闘行為に使用できるようにする」。報告は「日本との外交的・軍事的関係を深める。中国との広範な競争において他の同盟国も重要だが、日本が要」と言い切った。在日米軍基地の使用なしには、アメリカの戦闘機・攻撃機は効果的に戦争に参加できないとの判断からである。
台湾有事の切迫が喧伝されるようになってから、アメリカのジョージワシントン大学のマイク・モチヅキ准教授は、アメリカによる対日2大要求として筆者に、自衛隊のスタンドオフミサイルの保有と在日米軍基地への自由アクセスを挙げたが、提言はまさにこれを提言とした。
今回の日米首脳会談に先立ち、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は共同発表で「日米の施設の共同使用を拡大し、共同演習・訓練を増やす」をうたい、アメリカ側は沖縄の海兵隊を2025年までに離島防衛に即応する「海兵沿岸連隊(MLR)」に改編するとした。在日米軍基地の自由アクセスの要求への回答でもある。
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