東日本大震災を試練に日本は自信を取り戻す--英メディアが見た大震災下の日本
この震災で、さらに意気消沈するという見方もあるが、エコノミストが過去2~3年観察してきたところによると、日本にはどうやら静かな革命が起きていることが分かった。国民の政府への期待も高まり、若者層にも多様な動きが出ている。09年の総選挙で、民主党が自民党を倒して政権を握ったのは、その「革命」の一端だったと思う。
といって、新しい時代がまだ始まったわけではなかった。政治体制がまだ古い仕組みのままなのだ。この震災をきっかけに、透明性が高く、国民の声を汲み上げるような政治が次第にできてゆくのではないか。
--日本人の自己卑下感も変わるだろうか?
まだこの段階でどうなるかは分からない。さらに自己に対する幻滅感が深まる可能性もある。しかし、日本が、そして日本人が正しく自分自身を見つめ、自己に対する「幻想」を捨てたとき、本当の問題に取り組むことができると思う。
--「幻想」とは?
例えば1995年の阪神淡路大震災のとき、バブル破綻から5年を経過していたが、日本人には多くの幻想があったのではないか。男性優位主義が強く、強い経済力を自慢の種にしていた。
しかし今、これほどの災害の前で、何をやるべきかに関して、日本や日本人に幻想はないと思う。これを機に、社会や政治体制が何ができるかに幻想を持たず、自信を持って、「少子化、高齢化、低成長、人口分布」という「本当の問題」に取り組むことができるのではないか。私は楽観的だ。
中国でさえも、ブログなどを見ていると、日本人が冷静に災害後の毎日を生きていることを誉めていることを心に留めてほしい。
政治も、これからはもっと協力し合うものに変わるかもしれない。ここ何カ月か、野党の自民党は民主党の政策が実行できないような戦略を取ってきたが、与野党の違いに関わらず、政治家が協力して国事にあたるこの機会に、もはやそうした戦略は取りにくいだろう。