日本の観光地「陳腐化・老朽化」が止まらぬ4大原因 インバウンド復活も「まったく安心できない」訳
いうまでもなく、観光業は消費者が「自分が住むところから離れた場所で見たい、経験したい、時間を過ごしたい」と思うコンテンツがあり、そのコンテンツの価値に見合った対価をいただくビジネスです。
バブル崩壊以降、お客さんの嗜好も大きく、早く変化し続けていますから、観光業者としても、それにきちんと対応すべきなのはいうまでもありません。
しかし実際は、しっかりした投資をする余力もなく、コンテンツも時代遅れになり、ほかとの差別要素もなく「陳腐化」していたり、そもそも物理的に「老朽化」していたりする観光地が非常に多いのが実態です。
「日本に『残念すぎる観光地』量産される悲しい事情」でも書きましたが、「どこに行っても同じようなコンテンツ」ばかりつくってしまう観光地側のマインドセットも陳腐化の大きな要素です。また、「『安売り競争』が日本の観光地をダメにする根因だ」で説明した「安売り競争」も、次に向けた投資をする余力を削ぎ、陳腐化や老朽化を加速する要因になっていると考えられます。
実際、街の多くの建物が廃墟化し、「xx温泉といえば廃墟が有名」とSNSで評判になっているケースもあります。都会できれいな建物やおしゃれなお店を普段から見慣れているお客さんの中で、こうした「負のオーラ」が漂う場所をわざわざ何度も訪れたいと思う人が多いとは思えません。
そう、私が考える観光業の真の課題は、「コロナ禍で一時期お客さんが動かなかったこと」ではなく、この「わざわざ旅行に行きたいと思わせるべきコンテンツが、年々『陳腐化・老朽化』していること」なのです。
コンテンツづくりが進まない「4つの阻害要因」
観光業界全体としてのタスクは、「全国各地の観光地ごとに隠れた資産を見つけ、その地ならではのコンテンツとして磨き上げ続けること」と考えられます。
隠れた資産とは、「磨けばその会社や地域にとって宝物になるのに、何らかの理由で埋もれたままになっているもの」です(隠れた資産の見つけ方、磨き方は、拙著『スキー場は夏に儲けろ!』で詳述しています)。
私は長年、他業界で働いており、現在はどっぷりと観光業につかっています(参考:元官僚46歳「夏に稼ぐスキー場」を生んだ逆転人生)。
そんな私には、継続的なコンテンツづくりを妨げている、いくつかの「観光事業者側の負のマインドセット」があるように見受けられます。まずは、以下の「4つの阻害要因」を乗り越えることが必要でしょう。
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