中国の経済再開に対する世界の航空会社の姿勢は慎重で、同国内における海外旅行の需要積み上がりにもかかわらず、速やかな運航スケジュール変更や他路線からの機体転用には消極的だ。
航空データ分析会社シリウムによると、来年1-3月に予定されている中国行きの航空便は今週、前週比で2.9%増えただけで、各月の増便数は100便に満たない。来年の残る期間の運航計画もほとんど変化はなく、中国は新型コロナウイルス対策として入国者に義務付けてきた隔離措置を来年1月8日から撤廃すると発表したものの、航空各社が運航スケジュールを大幅変更するには至っていない。
中国に住む人々の海外旅行熱とは対照的に、コロナ感染が急拡大する同国と海外との往来再開に対する航空会社の反応は鈍い。米国などの主要国は中国から航空機で到着する渡航者に新型コロナ検査での陰性証明を義務付けており、そうした規制も早急な増便の妨げとなっている。
アジア太平洋航空協会(AAPA)のスバース・メノン事務局長は「航空会社が中国での輸送能力を現在の水準からシフトするとは思わない」と指摘。むしろ大半が状況を見極めるまで待つ見通しで、最近多くのコロナ感染規制を撤廃した香港が有効なテストケースとなるだろうと語った。
中国本土の住民は26日の政府発表に迅速に反応。オンライン旅行会社の携程旅行網(トリップ・ドット・コム・グループ)のデータによれば、国際便の予約は27日朝の時点で前日から254%増加。シンガポールと韓国、香港、日本、タイが旅行先の上位5位で、シンガポール便の予約は600%増、残る4つの目的地への航空便予約は約400%増えた。
ところがこうした国・地域の航空会社は増便を急いでいない。
シンガポール航空は発表資料で、「航空旅行需要を引き続き見守り、それに応じて輸送能力を調整する」と説明。香港のキャセイパシフィック航空は中国の発表を歓迎するとした上で、「関係当局と引き続き連絡を取り、中国本土発着便の旅客輸送能力をできるだけ拡大していく」との方針を示した。
大韓航空は増便計画を発表。現在は中国本土の7都市に週9便を運航しているが、来月から路線を9都市に、便数を15便に拡大する。
日本は今週、中国からの入国規制を強化する臨時的な特別措置を発表。中国本土からの渡航者全員に入国時検査を実施するほか、中国からの旅客便の増便も制限するとした。
日本航空の広報担当は政府の入国規制強化は残念だとしながらも、政府の指針に従って行動すると説明。ANAホールディングスは状況を注視していくとしている。
原題:Airlines Keep Capacity Tight Despite Boom in Chinese Demand (1)(抜粋)
--取材協力:、、、、、.
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著者:Katrina Nicholas、Angus Whitley、Danny Lee
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