トレーダーは金融引き締めの今後の道筋過小評価 インフレを巡る当局者の懸念に耳を傾ける必要

拡大
縮小

金融市場は、数十年ぶりの高いインフレ率の抑制に向け米金融当局がどこまで踏み込もうとしているかについて備えをしていないと、モルガン・スタンレーのチーフ債券ストラテジスト、ジム・キャロン氏が指摘した。

同氏は21日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、米金融当局者は来年に5%超に政策金利を引き上げると予想しているが、トレーダーは金融引き締めの今後の道筋を引き続き過小評価していると述べた。

「利上げサイクルが十分に織り込まれているとは思えない。織り込まれているのは、金利が下がるという期待感だ」と語り、インフレを巡る当局者の懸念や「当局者が伝えようとしていることに耳を傾ける必要があると考える」と語った。

モルガン・スタンレーのジム・キャロン氏がブルームバーグテレビジョンで語るSource: Bloomberg

米連邦準備制度は年内最後となる先週の金融政策決定会合でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.5ポイント引き上げて4.25%-4.5%とした。最新のドット・プロット(金利予測分布図)によると、来年末の見通しは5.1%(中央値)と、前回予測の4.6%から上昇した。

だが米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策発表日とリンクしたオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は来年5月の会合までに0.5ポイント超の利上げしか織り込んでいない。その後、23年末までに0.5ポイントの利下げを想定している。

 

キャロン氏は、何か劇的なことが起きない限り、金融当局はインフレ抑制を確実にするため政策金利をしばらく5.25%に維持する見込みだとし、「当局はその仕事を完了させる必要がある」と指摘した。

原題:Morgan Stanley’s Caron Says Markets Are Wrong on Fed Hikes(抜粋)

--取材協力:、、.

More stories like this are available on bloomberg.com

著者:Leda Alvim

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT