前代未聞、スイス「100両編成電車」実現の舞台裏 全長なんと約2km、「史上最長の旅客列車」運転

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100両編成、全長約2kmという長さだけに、ループ区間を4回通過する際は「窓から見える編成の後ろのほうが、自分が走っている方向と真反対に向かっている」という不思議な状況があった。同時に2本のトンネルに入っていたり、そのまたはるか遠くまで同じ列車の編成が見えたりと、乗車した人々にとっては想像を大きく超える風景が展開されたようだ。

ランドヴァッサー橋を走る100両編成電車
世界遺産・ランドヴァッサー橋に編成の一部がかかる(写真:PHILIPP SCHMIDLI/RhB)

技術的挑戦と大きなPR効果

本来の営業列車をほぼ丸1日止めての大イベントとなった今回の「記録挑戦」だが、沿線住民に迷惑はかからなかったのか。実際のところは、沿線ではさまざまな形で、100両編成の列車を一目見ようとする人々でずいぶんと盛り上がった。むしろ、一般の電車が当日走らなかったことで、沿線で走行シーンを見たい人々をうまく分散できなかったことのほうが惜しまれる、という声もある。

RhBのカミュさんは「(RhBに)乗りに行きたいという話よりも、あの時(100両編成トライアル)はどうだったのか?という問いかけばかりが多くて困る」と苦笑いするものの、「コロナ禍で沈んでしまったアジアからのお客様にまたぜひ来てほしい」とラブコールを忘れなかった。実際、記録挑戦によるPR効果は絶大だっただろう。国を問わず、さまざまな形でニュースとして取り上げられ、スイスの鉄道界の宣伝に一役買ったことは間違いない。

こうした不可能とも思えるようなトライアルを、鉄道の可能性の限界突破のために挑戦したRhBの人々に拍手を送りたい。

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さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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