RIZAP、2カ月30万円でも順番待ちのワケ 赤井英和さんも大変身、練られた企業戦略

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会員は5畳ほどの広さの個室ブースでトレーニングを行う

一方、会社側の視点に立つと、RIZAPは高単価であることと、他社よりも原価率を抑えていることで、広告を積極的に展開できるビジネスモデルとなっている。

原価は会社公表資料によると、売上高対比で人件費15%(他社20~30%)、地代家賃4%(同20%)、水道光熱費1%(同10%)、設備維持費1%(同5~8%)、店舗減価償却費1%(同7~10%)。いずれも他社より低い。

原価率が低い理由を、香西取締役は「他のスポーツクラブと異なり、プールやエアロバイクなど設備を利用してもらってなんぼというビジネスではないから」と説明する。

シンプルな設備でコストを抑制

実際、店舗をのぞくと、5畳ほどの広さの個室ブースにあるのは、大きなベンチプレスの機械のほかは、バランスボールや腹筋用のマットくらい。これが水道光熱費や設備維持費の低さにつながっている。

地代が低いのは店舗立地が影響している。取材で訪問した店舗は最寄り駅から徒歩5分程度だが、大通りには面しておらず、しかもビルの2階に入居しているので、誰かに教えてもらわないと気づかないくらいの場所だった。「RIZAPの場合、他のスポーツクラブのようにふと立ち寄って入会してもらうことは狙っていない。広告宣伝経由で集客するので、店舗が駅から近い必要はなく、ビルの地下でも地上でもいい」(香西取締役)という。

RIZAPの坪単価の売上高は年間約250万円。粗利率が高いため、広告宣伝への積極投資が可能となり、かつ広告宣伝費を上手く使えば20%強の営業利益率が実現できる。

今後の課題は利用期間の延伸だろう。目的がダイエットであれば、2カ月のトレーニングで目的を達成した後、利用者は通わなくなる。 そこで50~60代のシニア層を中心に健康志向を訴求することで、長期間通ってもらう利用者を開拓する考えだ。

4月からは60歳代をターゲットとしたテレビCMを始める。新たなドヤ顔が見られそうだ。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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