夢の乗り物「リニア新幹線」に乗って感じた疑問点 地震の際の緊急停止は?検査サイクルは?

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安全性が気になるところだが、「リニアは地震が起きても、脱線したり転覆したりしない」と言われている。リニアは軌道となるガイドウェイに囲まれている場所を、車両が走る構造になっているため、脱線しにくいということはわかるが、脱線しない詳しい仕組みをJR東海の広報部・東京広報室に聞いた。

それによると、超電導リニアの車両は、U字型のガイドウェイに囲まれた内側を約10cm浮上して非接触で走行する。このガイドウェイの側壁に設置された浮上・案内コイルの磁石の作用により、車両を常にガイドウェイの上下左右の中央に位置させようとする力が働くのだという。

具体的には、電磁誘導の原理により、車両がガイドウェイの中心からずれると、車両が遠ざかった側には吸引力、近づいた側には反発する力が働く。この仕組みにより、車両は常にガイドウェイ中央に安定して保持されるため、地震発生時も脱線することはないというものだ。

さらに、「東海道新幹線で実績のある早期地震警報システム(テラス)を導入し、列車を早期に減速・停止させることができる」という。テラスとは、沿線の遠方に設置している地震計で、地震の初動波(P波)を自動解析し、主動波(S波)が沿線に到達するまでに、列車を減速、停止させることができるシステムである。

地震発生時の緊急停止は?

ここで気になったのが、例えば地震によって停電した際には、どうするのかということだ。急に磁力がなくなっても地面に落下することなく、安全に停止できるのか。その点について尋ねたところ、以下のような回答があった。

「車両に搭載された超電導磁石が地上側の浮上・案内コイルの前を高速で通過すると、電磁誘導の作用によってこの浮上・案内コイルに電流が流れ、浮上力が発生する。そのため、浮上・案内コイルへの外部からの電力供給は不要であり、万が一の停電時においても、高速で走行している間はつねに浮上力が生じるため、車両は浮上を続ける。その後、バックアップブレーキにより速やかに減速し、自動的に車輪走行に移行して停車する」

では、リニアが実際に急ブレーキをかけたらどのように速度を落としていくのか。この点については、「通常時には電力回生ブレーキにより減速するが、バックアップブレーキとして車輪ディスクブレーキ、空力ブレーキを搭載しており、緊急時には状況に応じてこれらのブレーキを使用する」とのことだ。

空気抵抗を利用して速度を落とす空力ブレーキが気になる。具体的にどのように使用されるのか。また、車両の屋根部分から、空力ブレーキ板を出して止めるようだが、具体的に1車両につき、どれくらいの枚数が設置されているのかについて聞いたところ、「空力ブレーキ板は、各連接部につき2枚設置している」と教えてくれた。

空力ブレーキ板を出した状態のリニアは、まるで列車の耳のように見えて愛嬌があるが、なかなか見ることはできない貴重な姿だ。ちなみにリニアの車両は、約10cm浮上し走行しているが、横の隙間は、つまりガイドウェイと車両との間は、何センチくらいなのか。その答えは、「左右どちらも約8cmの間隔がある」。思っていたよりも隙間があることがわかった。

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