脱キティ依存?サンリオ"萌え系戦略"の勝算 「SHOW BY ROCK!!」でファン層は広がるか

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サンリオの王道ともいえるファンシーなキャラクターと比較すると、SHOW BY ROCK!!のキャラはあきらかに異端。「こういうキャラクターをこれまで展開したことがなかったので、社内にも疑問視する声は少なくなかった」(高橋チーフクリエイター)。

だがそれ以上に、新しい市場への挑戦を前向きにとらえる社員の期待感は大きかった。

「アニメグッズの小売店とつながりがあるから、営業してみようかとか、こういう要素を入れたほうがいいんじゃないかとか。声を大にして言わないだけで、SHOW BY ROCK!!のようなキャラクターが好きという社員もいたんです。それが支えになった」(同)

女性や音楽ファンもハマる

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全キャラクターに、SDキャラ(右下)と擬人化キャラ(左上)を用意した

男性を取り込むため、プロモーションも工夫した。一般的なサンリオキャラクターは、サンリオショップが販促の場。グッズ販売を通して、来店客にジワジワと浸透させていくスタイルだ。

だが、SHOW BY ROCK!!のキャラは、通常ならサンリオショップに来店しない大人の男性。従来のやり方で認知度を高めるのは難しいと判断し、ソーシャルゲームを通じてキャラクターの露出を狙った。

男性がターゲットでゲームとなれば、バトルゲームを思い浮かべるのが一般的。ただ「サンリオとして、バイオレンス(暴力的な作品)はいかがなものか。でも、ゲームに熱中できるよう、競争するという要素は入れたかった」(同)。開発スタッフの中に偶然いた元バンドマンの「音楽ってすごい競争世界ですよ」という言葉にも背中を押され、音楽で食べていくために業界の頂点を目指すというテーマが固まった。

萌え系キャラやソーシャルゲームの活用は的中した。ダウンロード数や課金収入だけでなく、ソーシャルゲームと親和性の高いSNS(交流サイト)上での反響が大きかった。中でも、アニメファンのツイッターで「キャラクター1人1人に用意した設定やストーリーなどが感情移入しやすい」と評価が上々だったことは、自信につながったという。

反響はそれだけにとどまらなかった。SHOW BY ROCK!!は男性向けキャラクターとして生まれたが、思わぬ先からも支持が得られたのだ。イケメンのアニメキャラクターが好きな女性層である。

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