一般選抜入試枠が減っていく!?大学が旧AO入試「総合型選抜」を選ぶ背景 国立8割・私立9割で実施、「トイレ研究」で合格も
過去には、「私×トイレ×旅」をテーマにした研究発表で合格した生徒がいたという。自分の子どもが行く先々でトイレに興味を示していたら、思わず不安になる保護者もいるかもしれない。しかし「排泄にまつわる文化人類学の研究を通して、最高のトイレを作りたい」という志があると知れば、見方も変わってくる。生徒の関心を志に結び付けることが大切なのだ。
自分の興味関心について新たな気づきや知見を得るために、早稲田塾では大学教授や有識者と交流できるプログラムを実施。あらゆる分野の第一線で活躍する人から指導を受けることができるほか、現役アナウンサーから面接における表現方法を習うなど、総合型選抜に向けた対策を行う。
総合型選抜=「学力不足の生徒」は間違っている
中川氏は、総合型選抜は今後も増え続け、一般選抜は減っていくだろうと話す。しかし、入学後の学力不足など問題点はないのだろうか。
「総合型選抜は勉強が苦手な人が受けるものだと思われがちですが、実はそんなことはありません。最近は面接だけでなく、小論文や教授とのディスカッションを実施したり、共通テストの結果を考慮したりする大学も増えました。面接だけであれば、大学側が求めそうな内容を要領よくプレゼンテーションすれば受かるかもしれません。しかし、文章に落とし込んだりリアルタイムで議論したりするなら、特定の分野への深い理解と考察力がなければ厳しいでしょう」
総合型選抜で万が一不合格だった場合も、同大学の同学部を一般選抜で受験することができる。ただ、総合型選抜の合否がわかるのは11月以降だ。合否が判明してからの準備で間に合うのだろうか。
「もちろん、総合型選抜入試の対策の間に入試科目の勉強をしておくことも大切です。しかし、総合型選抜入試を受ける生徒は、研究テーマの理解を深める中で国内外のさまざまな論文を読んだり、世界の歴史や政治経済の事情を調べたりしています。それが、英語や国語、社会の受験勉強に役立つ面もあるようです。研究テーマに関する海外の動画を見るうちに、英語のリスニング力が上がっていたという話も聞きます」
自分の興味関心を発見して掘り下げ、目的意識を持って研究を進めた経験は、就職活動や仕事にも生きてくる。少子化が進む中で大学側が必要とする人材を確保するためにも、総合型選抜入試はさらに増えると予想されそうだ。
(文:酒井明子、写真:尾形文繁)
東洋経済education × ICT編集部
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