「トヨタ車」にも入り込むウイグルの強制労働部品 ベンツ、テスラ…業界全体の汚染が調査で発覚

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アメリカでは「ウイグル強制労働防止法」により、新疆で全体または部分的に製造された製品は強制労働によって製造されたと見なされることになった。そのため、国内に持ち込む場合には連邦政府による押収の対象となる。

税関当局によると、6月に同法が施行されて以来、新疆との関係が疑われる約2200件の貨物(総額7億2800万ドル超相当)が摘発された。うち300製品あまりは、最終的にはアメリカへの輸入が認められている。

連邦当局は、どのような種類の製品を押収したか明らかにしていない。ただ、新疆から綿やポリシリコンなどの原材料を調達している衣料品や太陽光パネルメーカーは、この新しい規則でとくに大きな打撃を受けている。

中国は自動車部品供給の重要拠点

ニューヨーク・タイムズは報告書の内容のすべてについて独自に裏を取ったわけではないが、そこでは新疆と直接または間接的につながっている可能性のある中国および外国の企業、約200社の社名が名指しされている。

報告書で名前の挙がった中国の大手製造企業の多くは複数の生産拠点を持っているため、外国の自動車メーカーに供給された金属部品、電子部品、ホイールは新疆以外の工場で製造された可能性もある。

自動車部品のグローバルサプライチェーンは巨大で複雑だ。マッキンゼー・アンド・カンパニーの推計によると、平均的な自動車メーカーは、原材料から部品に至るまで、サプライチェーン全体で1万8000社ほどのサプライヤーとつながっているとされる。

これらサプライヤーの多くは中国に拠点を持つ。その中国は世界の自動車産業の中で重要性を増しており、中国が毎年輸出する自動車部品の約4分の1はアメリカ向けだ。新疆はさまざまな産業の拠点となっているが、その豊富な石炭埋蔵量と緩い環境規制によって金属製錬などエネルギーを大量に消費する材料加工の要所になっていると、報告書では述べられている。

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