「クオリティ上げて」上司の曖昧指示への超対処法 「分解思考」で仕事はもっとスムーズになる

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(例)
●顧客獲得までのプロセス=顧客リストにある顧客の総数×アポイント率(%)×クロージング率(%)
→気になる点、問題点がどこにあるか考えてみる(対象を分解)
(例)
●なぜ予算が達成できないか=営業の問題×PRの問題×商品の問題……

考えの枠を広げるためには、自分が持っているパーツの全体像をつかむことも大事です。

全体像を分解すると、実は自分がやろうとしていたことが1つの枝葉にすぎないことがわかります。すると、1つの枝葉から上に戻って、別の枝葉に解決策を求めたほうが効率がいいと気づけたりすることもあります。

例えば、売り上げを2倍にするという目標に対して、リストを増やすのではなく単価を上げるという課題に気づいたのは、まさに1つの枝葉から上に戻ったからこそです。

そもそも「リストを増やそう」が目的でしたが、その上の「目標は何か?」を考えれば、別の課題も見つかります。

分けて考える習慣がないと、どうしても与えられた条件や、やり方の中で仕事をするしかないという発想から抜け出せなくなります。特に、日本の職場では「行動量で解決しよう」「頑張ればなんとかなる」という結論に傾きがちです。

けれども分解思考をすれば、上流にさかのぼってさまざまな選択肢の中から解決策を問い直すことができるようになります。

ちなみにこういう図が書けると、会議などで意思の疎通をはかる際にも便利です。

全体像を見ながら、「分解してみたら、こっちの方向もありますね。実はこっちに取り組んだほうがお互いにラクに結果を出せるからハッピーですよね」という話し合いができるので、不要な対立も回避できます。みんなにとってハッピーな解決策を選択できるようになるのです。

細かく分けすぎない

僕は過去に「データマーケター養成講座」という講師をしていて、データ分析に強みを持つマーケターを目指す受講生に分析の仕方を教えていた経験があります。

分析には「分けて比べる」という意味があるのですが、分析が下手な人はとにかく細かく分けてしまいがちです。

例えば会社の売り上げ構成を100個に分けて、1つの部分だけを見て、「1つの部分を200%(2倍)に伸ばしました!」などと言います。200%というと、いかにもすごい実績に聞こえますが、実はトータルで見ると100が101になっているだけです。

実際に「私の部署では200%の改善を達成しました!」などとアピールしている割に、会社全体で見ると大した効果につながっていないようなケースが結構あります。

一方、分析が上手な人は、「会社の売り上げ構成を2個(70と30)に分けて、その70を150%(1.5倍)に伸ばす」といったことをします。

次ページ「思い込み」をなくして思考を広げ、選択肢を増やす
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