村田製社長スマホ市場のさらなる下振れあり得る アップルの高価格帯スマホへの需要にも不透明感
村田製作所の中島規巨社長は、世界のスマートフォン市場のさらなる下振れを警戒している。中国メーカー製品の落ち込みに加え、米アップルの高価格帯スマホ「iPhone14」の需要の先行きにも不透明感が増しているためだ。現時点で10億8000万台程度とみる今期(2023年3月期)のスマホ需要予測がもう一段下方修正される可能性が出てきた。
中島社長は6日のインタビューで、米国の高価格帯スマホについて「結構完成品在庫があるように見えるので、過度な期待はしていない。下方修正が入るかなと思っている」と述べた。
米国のスマホにとって新型コロナウイルスの感染拡大による中国工場のロックダウンは懸念材料の一つ。部品供給先の顧客からは来年1-2月に挽回生産すると言われていたため、現在の需要予測には反映していないという。アップルは11月、iPhone14の生産が今年の当初予想より少なくとも300万台減となることを見込んでいると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにしていた。
アップルiPhone14生産、予想より少なくとも300万台減へ-関係者
村田製は10月31日の7-9月期(第2四半期)決算説明会で、今期のスマホ需要予測を期初段階の13億7000万台から下方修正した。10月中旬時点では12億台を切る水準を見込んでいたが、「中国スマホは相変わらず購買意欲が戻ってきていない」ことを反映したと中島社長は説明した。
今後については、中国スマホの新機種が出てくる来春以降に徐々に戻ってくるとみており、来期のスマホ市場は今期と比べて「少し増える印象」だと語った。
村田製は電圧を一定に保ち、電流に含まれるノイズを取り除く積層セラミックコンデンサー(MLCC)で世界シェアトップ。MLCCのほか、高周波モジュールを世界のスマホメーカーに供給している。ブルームバーグのデータによると、韓国サムスン電子やアップルを顧客に持つ。
米中分断リスクに備え
一方、村田製では米中の分断リスクに備えるため、中国の内需向けは中国国内で完結する供給網(サプライチェーン)の構築に取り組んでいる。11月にはMLCCの中長期的な需要増加に対応する一手として、無錫工場(江蘇省)で新生産棟の建設を始めた。
中島社長は、中国は消費人口が大きく、電気自動車(EV)の普及促進のように国策で需要が動くなどエレクトロニクス業界にとって「無視できる市場ではない」と指摘。ただし、中国で事業活動を続ける上で、情報管理や米政権の動向がリスクになり得るとの認識も示した。
中島社長によると、中国国内でサプライチェーンを完結させるのはMLCCやインダクターなど「マチュアな(成熟した)製品群」で、顧客とのすり合わせや差異化技術が求められる高周波モジュールは日本で生産しているという。村田製の中国向け売上高は全体の約5割を占めるが、国内生産比率は約65%と高水準だ。
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著者:古川有希、望月崇
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