不登校の中1息子を「許せない父」が変わった経緯 半年の長期出張で身に染みたこと

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――まつぼんさんの考えや接し方が変わることで、息子さんにも変化はありましたか?

はい、すこしずつでしたが息子は元気を取り戻していきました。妻と私が学校へ行かないとまともな人生を送れなくなるんじゃないかと不安を抱えていたころは、息子も将来を悲観していて、「俺って生きている意味あるのかな」とぼやいたこともありました。でも親の私たちが学校へ行かない生き方もあることを言葉や態度で示すようになると、息子は気がラクになったようでした。心を固く閉じて私たちを避けていたのが、リビングでいっしょにすごせるようになったんです。私たち親の変化は彼にとってプラスになったんじゃないかと感じています。

子どもを変えようと奮闘するよりも

今になって思うのですが、子どもを変えようと奮闘するより、親がまず変わったほうがよっぽどかんたんで、おたがいが元気になる一番の近道でした。私は息子の気持ちを理解しようと「日本メンタルヘルス協会」というところで心理学を学んだのですが、その過程でも他人を変えることの難しさを知りました。他人を変えようとすることは、「あなたはまちがっている」と考えを否定することになってしまいますし、うまくいかないものなんです。

だったら自分が変わるしかない。私の場合は仕事で壁にぶつかり、社会のレールに沿って生きてきた人生に疑問を持ったことが価値観を変える後押しになったんじゃないかと思っています。

当記事は不登校新聞の提供記事です

大人が長い時間をかけてつちかってきた価値観を変えるのはとてもたいへんなことです。でも、「今までこうあるべきと思ってきたことって本当にまちがいないことなのかな?」と自分に問いかけてみると、ほかの見方を受けいれる余白ができるような気がします。余白ができたらあらためて現在地を見つめてみてほしいです。今、子どもは何が苦しいのか、親は何が苦しいのか、どう癒したらいいのか。何にもとらわれずに考えられたなら、きっと家族全員がラクになる方法が見つかると、私は経験から感じています。

――ありがとうございました。

(聞き手・遠藤ゆか、編集・本間友美)

【プロフィール】まつぼん 松本雅彦(まつもと・まさひこ)
「不登校支援オフィスここるーむ」代表。福岡市を中心に夫婦で不登校支援を行なう。おもに不登校の親としての経験を基にした不登校相談や親の会を開催している。また心理カウンセラーとして、心の仕組みや親子の関わり方に関する支援活動にも取り組む。
「ここるーむ」活動紹介
私たち夫婦(まつぼん・ちず)は、福岡県福岡市を拠点にカウンセラーとして活動しています。私たちの願いは「子どもも大人も自分軸で幸せに暮らせる社会」をつくること。2人の息子が不登校した経験をもとに、講演活動や不登校・ひきこもりの個別相談(対面・オンライン)、親の会なども行なっています。詳しくは「まつぼん ここるーむ」で検索してください。

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不登校新聞

日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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