SPAC合意撤回相次ぐ、1.5兆円近い取引が水の泡に 資金返還率が上昇、SPACブームの成れの果て

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特別買収目的会社(SPAC)業界で計106億ドル(約1兆4500億円)相当の合意が1時間足らずで水泡に帰した。

業界で最も著名なSPACスポンサーの1人であるアレック・ゴアズ氏は5日、ゴアズ・ホールディングスVIIIは材料科学テック企業のフットプリントと合併しないと発表。一方、英銀バークレイズの最高経営責任者(CEO)だったボブ・ダイアモンド氏が会長を務めるコンコード・アクイジションは、ステーブルコイン発行体との提携を取り止め、キャシー・ウッド氏率いるアーク・インベストメント・マネジメントやリテールトレーダーに打撃を与えた。

1時間足らずの間に起きたこの2件の合意撤回は、SPACブームがしぼむ中、未決の案件を抱える業界の大物でさえ合併実現への道が安泰でないことを示唆している。

SPACを中心に不確定要因が比較的大きい業界への市場センチメントは悪化しており、今年に入り55件を超える取引が中止となった。これらは事業を閉鎖する65余りのスポンサーの一角に過ぎず、なお合併を含む提携を検討している約470のチームにとっては不吉な兆しだ。

  

エンパイア・フィナンシャル・リサーチのエディター、エンリケ・アベイタ氏は先月のインタビューで、「センチメントは、実際に取引を完了できる能力に大きくかかっている」と指摘。持ち分を差し出して資金返還を求める投資家の動向を示す資金返還率が上昇しており、これが合意破棄が増えている大きな理由だと語った。

米プロバスケットボールNBAのフェニックス・サンズがプレーするアリゾナ・アリーナの命名権を保有するフットプリントが昨年後半にゴアズとの合意を発表した際、合併後の新会社の企業価値は16億ドルとされていた。一方、ステーブルコイン発行体のサークル・インターネット・フィナンシャルは2月、コンコードとの提携について、価値が2倍に増え90億ドル相当になったと説明。自社の財務見通しと競争力の改善を理由に挙げた。

ところがコンコードのスポンサーは取引を断念し、1株当たり約10.17ドルを投資家に返還するとその後の届け出で明らかにした。ブルームバーグのデータによると、同社株は昨年11月に終値ベースで最高値の13ドルを付け、ウッズ氏のアーク・インベストメントから注目された。同ファンドは約320万株を保有し、このSPAC投資家としては最大級。

取引の最新情報によると、ウッズ氏の上場投資信託(ETF)は昨年11月、株価が11ドル超で推移していた時期に22万2800株を買い増し、今年2月に10.37ドルで引けた日には27万8000株を追加購入した。 

米証券取引委員会(SEC)による規制強化の懸念を背景に、SPAC市場では混乱が拡大。De-SPAC指数はこの1年で71%下落した。一方、S&P500種株価指数は13%の下げにとどまっている。SPACと合併した約400社中、3分の1余りが1株2ドル未満で取引されている。

原題:SPACs Collapse as Gores, Diamond Join the List of Blown Chances(抜粋)

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著者:Bailey Lipschultz

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