NHK次期会長人事、丸紅元社長の朝田氏で最終調整 内部では新会長を支える新執行部体制の議論も

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NHKの前田会長
元みずほフィナンシャルグループ社長の前田晃伸氏。2020年にNHKの会長に就き、2期目も務めるとの見方もあった(編集部撮影)

2023年1月に任期満了を迎えるNHKの前田晃伸会長(77)の後任選びが最終局面を迎えている。

関係者によれば複数の名前が取り沙汰されているが、12月2日までに最終候補として丸紅元社長の朝田照男氏に絞り込まれたことが東洋経済の取材でわかった。12月5日に開かれる経営委員会の指名部会で最終候補として決め、翌6日の経営委員会で正式決定して発表される見通し。

朝田氏は1948年生まれの74歳。1972年に慶応大学を卒業し、大手商社の丸紅に入社。常務執行役員財務部長などを務めた後、2008年に社長に就任。2013年には会長となり、現在は丸紅の名誉理事を務めている。

自分の改革路線を継承してもらうとの見方も

事情に詳しいNHK関係者によれば、前田会長は一時、2期目も務める意思を示していた。

しかし、受信料の引き下げをめぐって自民党と対立。前田会長ら経営陣は経営計画の修正として2023年から衛星契約のみの引き下げを主張していたが、最終的には自民党に押し切られる形で地上契約・衛星契約ともに1割値下げを決定した。こうした経緯を受け前田会長は1期での退任を決め、後任の人選を進めていたという。

人選に当たっては前田会長同様、経済界を中心に進められ、数人の候補が浮上したものの、前田会長の出身母体であるみずほフィナンシャルグループと親密な関係にあり、経済団体などで親交のあった丸紅の朝田会長に白羽の矢が立てられたという。

関係者は「受信料の引き下げで大幅な減収となるが、その分をどう手当てするか見通しは立っておらず、NHK内で前田会長の立場は厳しいものとなっていた」と明かしたうえで、「親密な朝田氏にバトンを渡すことで、自分の路線を継承してもらおうという意向が働いているのではないか」と指摘する。

次期会長人事が最終調整に入ったことで、既にNHK内部では新会長を支える副会長人事をはじめ、新執行部体制に議論が移っているという。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

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