ロイホのパンケーキ酷評演出は何がマズかったか TBS「ジョブチューン」巡る炎上騒動を生んだ図式

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私が日本テレビでスポーツ局に在籍していた当時、ナイター中継への「苦情電話」が、毎試合、文字通り殺到していた。

苦情電話係の女性が10人ほどいて、鳴りやまない電話に応対をしていた。

内容は監督の采配や審判の判定をめぐっての苦情が大半で、放送局に言ったところで仕方がないものがほとんどだった。

きわどい判定シーンの後には、苦情係の対応では追いつかず、スポーツ局で仕事をしている私たちの電話も一斉に鳴り出すことも日常茶飯事だった。

1日にかかってくる苦情電話は、数百件以上だったが、それを称して〝炎上〟と指摘する言葉もなかった。

しかしSNSが普及した現在では、わざわざテレビ局に苦情電話を入れるまでもなく、自身の意見はTwitterをはじめとするSNSなどで発信することができる。

そして「苦情電話」であれば、テレビ局内部以外にその数や内容が広がることはない「ご意見」だったのだが、SNSではネット上で衆人環視のもとに可視化される。

この「可視化された批判」を、メディアが拾い上げて記事にする。

特に「テレビ番組に対する批判的な記事」は、ネットではアクセス数を稼げるコンテンツでもあって騒動に拍車をかける。

「番組を見ていなかった人たち」にも知られる

このようにして、「ジョブチューンでのシェフの発言」は、「実際に番組を見ていなかった人たち」に知られることになる。

そもそも「ジョブチューン」の世帯平均視聴率は6~7%程度である。

失礼ながら「人気番組」と言うには及ばないだろう。

つまり多くの人は「見ていない番組」なのだ。

しかし「実際に見ていた視聴者」の批判的な投稿がキッカケで、「実際に見ていない人」を巻き込む騒動になった。

次ページ番組の演出にも再考の余地はある
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