転職と独立、どちらを選んでも考えておきたい事 できれば現職に残るという選択肢も残しておく

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現在勤務する会社を離れる決断をする前に、現在の会社で掲げた目標をどの程度達成したか、今が会社を辞めるタイミングかどうかを見極めるようにしましょう。もし、上司や同僚からのハラスメントといった深刻な状況がある場合は別にして、ただ漠然と会社を辞めたいと思っているだけなら、まずは現在勤務する会社に踏み止まることも選択肢に入れることが大切です。

現在、私自身が転職の相談を受けるなかでは、およそ3人に1人の割合で転職にストップをかける結果になっているのが実状です。そうした転職にストップをかける方に対しては、相談の最後に「現在勤務する会社にもう少し残り、専門性を磨いて実績を出すことに注力したほうが良い」とアドバイスさせていただくことが多いわけです。

それでも現在勤務する会社を離れる決意をして、「次の世界に飛び込みたい」という状況で独立か転職かを悩んでいるのならば、私は間違いなく「転職」の選択肢のほうをおすすめします。なぜなら、私自身も独立と転職の両方を経験していますが、どちらのほうがハードルが高いかというと、もちろん独立のほうが成功するハードルが高くなるからです。

当たり前のことですが、会社に勤務していれば、実績の良し悪しにかかわらず、毎月一定の給料が自分の口座に振り込まれていきます。ところが、いざ独立するとなれば、途端に毎月普通に入ってくる給料が突然なくなることも十分に想定されます。

ある意味、自動的に毎月入ってくる収入がないということは、言い換えればスムーズに生計が立てられなくなる状況もありうることを決して見落としてはならないのです。

将来的に独立を考えているなら

今は転職の道を選んだとしても、いずれは独立を考えている人も増えてきています。

そんな人には、ぜひともベンチャー企業を転職先としておすすめします。ベンチャー企業であれば、会社としてのブランド(看板)が確立されていませんし、かつ小規模の企業なので会社としての体制が構築されておらず、仕事内容も何でもかんでも引き受ける必要に迫られます。

会社名を名乗っても相手は知らず、会社説明から入る必要があるベンチャー企業は、将来の独立に向けて自分を研鑽するための良い修行の場であるといえます。

私自身も振り返ると、商社やメーカーなど、大企業での経験しかなかったところから、将来の独立も視野に入れて20人前後の小さなヘッドハンティング会社に転職しました。そこでの経験が、その後の自らの独立の際に大変役立ちました。何も完成されていないベンチャー企業に転職し、仕事は基本的に何でも引き受け、資金的な余裕もない中で率先して自ら動かざるを得ない状況が、独立を後押ししてくれるのです。

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