経済学はチケット1枚4万ドルをどう理解するか スウィフトのチケットが転売市場で価格が急騰

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プリンストン大学の政治経済学教授だった故アラン・クルーガー氏はかつて、音楽産業というレンズを通した経済を「ロッコノミクス(Rockonomics)」というコンセプトで分析。16歳の若さでアルバムデビューを果たしたテイラー・スウィフトを繰り返し例に挙げ、コンサートと商品の売り上げを両方伸ばす戦略を駆使した「経済学の天才」と称賛した。

単なるアーティストではなく「一つのカテゴリー」

この教えを引き継いでカリフォルニア大学リバーサイド校でロッコノミクスを教えるキャロライン・スローン教授も、テイラー・スウィフトは単なるアーティストではなく「一つのカテゴリーになりつつある」と話す。「彼女のライブを見ることに取って代わるものはない、というのがファンの思いだ。心から見たいと思っている。私自身がそうだから分かる」と述べた。

一方で、チケット転売市場を研究しているパスカル・クーティ教授(カナダのビクトリア大学)は、「希少性が需要を増やしているという感触を得ることは非常に多い」と指摘する。

経済全般における最大の疑問は、金利と失業率が上昇する中でも消費が増え続けるのか否かということだろう。スウィフトノミクスは独自の世界を構成しているため、その答えを導く助けにはならない。

メリーランド大のカーニー教授は、米経済の健全性を考える上で法外な高額チケットをめぐる現象を深読みすることには慎重だ。「大勢の熱烈なファンにとってチケットの需要というのは非弾力的な要素に近い。こうした解釈がむしろ適切のようだ」と経済用語を用いて解説した。

テイラー・スウィフトPhotographer:Terry Wyatt/Getty Images

原題:Taylor Swift’s $40,000-Plus Tickets Teach Harsh Economics Lesson (2)、US Opened Live Nation Probe Before Taylor Swift Debacle (1)(抜粋)

--取材協力:、.

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著者:Augusta Saraiva

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