アプリリア「RSV4・1100Factory」300km/h超の世界 メーカー公表値の最高速度305km/hは出るのか

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RSV4・1100Factoryのメーカー公表値は、最高速度305km/hとなっているが、この速度が実際に記録できるのか?

今回の私のトライは、あくまでも吊るし状態のマシン、つまり一般の人がディーラーで購入できる状態のままで行った。小細工は一切なし、市販車でどれだけの速度が出るのかを知りたかったからだ。

市販状態
ウインカーやミラーなどの保安部品はもちろん、ナンバープレートも付いた正真正銘市販状態でテストを実施(筆者撮影)

例えば、こういった最高速テストでは、通常なら空気抵抗になる左右のミラーを真っ先に取りはずす。しかし今回は、保安部品として装着が必要なミラーなどは取り外さず、さらに折りたたむこともなく、後方視界が良好な普段の角度に設定している。そのほか、マシンのリヤエンドにある車体登録表(ナンバープレート)やそれらの取り付けベース、リフレクターなどもそのままとしている。

エンジン制御はフルパワーに設定し、トラクションコントロールはキャンセル。ウィリーコントロールもキャンセルにすることで、最高速付近でのフロントタイヤとリヤタイヤの回転差からくる制御もキャンセルとした。

テストを行ったJARIの高速周回路について

テストコース
JARIのテストコースにマシンとともに立つ筆者(筆者撮影)

一方、JARIのコースレイアウトは、全長5500m×幅12mからなるオーバルコースで、1638mの曲線部分からなる大きなコーナーが2カ所、そのコーナーを1112mの直線2本でつなぐ形になる。コーナー部分にはバンク(傾斜)が設けられ、バンク角は45.2度で、設計速度190km/hとなっている。簡単に言えば、190km/h以下であれば、遠心力と重力がバランスして、ステアリングを操作しなくてもコーナーを曲がれる設計ということだ。いわゆるテスト用の高速周回路で、高速走行試験や最高速試験などが行われる場所。ちなみにバンクコースとして有名な場所に、アメリカ・デイトナ・インターナショナル・スピードウェイがあるが、こちらのバンク角は31度なので、JARIのほうが傾斜はきついことになる。

吹き流し
コースに設置された吹き流しは、大きく横に流れていた(筆者撮影)

私の経験から言うと、こういった最高速チャレンジは、自然界からの後押しがあるか否か、つまり風向きでの影響が大きく出る。今回も最高速を出したい直線部分では吹き流しが真横になるぐらいの突風が吹くこともしばしば。一方では、高速バンク走行は、真正面と真後ろから風を受け、2つのバンクで違うフィーリングを感じながら、走らせることになった。

次ページ緊張の連続、300km/hの壁を越えられるのか?
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