ユニクロとしまむら、なぜ明暗が分かれたか 国内アパレルの「優等生」が陥った停滞局面
それぞれ見る側の好みはありますが、近年のユニクロはテニスの錦織圭選手やジョコビッチ選手、ゴルフのアダム・スコット選手を起用。世界的デザイナージル・サンダー氏の起用やファッションアイコンのイネス・ド・ラ・フレサンジュ氏とのコラボなど、世界の一流といわれる人と組むことによって認知度を上げ、商品力を上げ、洗練度を上げてきています。特にジル・サンダー氏とのコラボ企画などは、それまでの氏の活躍を知っている業界人からすれば、あり得ないとしか言いようのないほど衝撃的な出来事でした。
しまむらは「あか抜けない」
しまむらは、そこまでの洗練されたブランド戦略が見受けられません。残念ながらお客の多くは、しまむらがいま一つ追いつけていない、「あか抜けない」と感じてしまう要因でもあります。
また、今のようなスマートフォン全盛時代への対応にも差があります。
ユニクロは姉妹ブランドの「GU」とともにモバイル会員システムを持っています。お買い得、新着などの各種情報が配信され、店頭に行けば会員のみの割引という特典もあるほか、オンラインでの買い物にも使用できるため、忙しいときや近くに店舗がないときに重宝します。プロモーションやブランディングのほか、EC(電子商取引)による売り上げの増加にも一役買っています。
一方のしまむらには残念ながら、モバイル会員システムもECサイトも準備されていません。小売業を営むうえでしまむらほどの大手企業でECサイトですら用意されていないのは、大きな販売チャンスを逃してしまっている可能性があります。
しまむらの商品戦略の強みは、多品種少量の品揃えです。最大のメリットとして、同じ品番の商品が1店舗に数枚しかないために、小さい商圏でもお客の服がかぶりにくいことが挙げられます。ただ、これが店頭でうまく生かされていません。
店頭では、同じラックの中に違う商品ばかりが掛けられ、棚の上も違う商品ばかりが畳んで重ねられてしまうという現実を生みます。視覚的にはバラバラで決してきれいに見える物ではありません。むしろ、やぼったくさえ見えてしまいます。
その逆の少品種多量のユニクロは、同じ品番の商品で同じカラーのサイズ違いを大きなかたまりで見せますから、ラックの中も棚の上も形もカラーもきれいに整理されているように感じ、買いやすい環境になっています。
以前のように他人と同じものを着ているのが嫌だという、「ユニかぶり」という言葉も消えてしまった今では、なおのことユニクロに人が吸い寄せられることになります。
しまむらが、今の特性を生かしたままで店頭商品の見せ方(ディスプレイ)を大胆に変えることができれば、突破口になりえるかもしれません。少なくともこれまでどおりでは、停滞を脱するのは難しいと見ています。
(撮影:今井 康一)
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