ドラマ「silent」第5話で見えた圧倒的支持の理由 物語を徹底解説、今からでも間に合う話題作の見方
実際、続くシーンでは想が紬の職場まで会いに来る様子が描かれ、押しかけた理由は「LINEの返事をしてくれないから」でしたが、これは紬が「『湊斗と別れたから次は想』という変わり身の早い性格ではなく、いちずに湊斗を思っていた」ことを表現したいからでしょう。当作の作り手たちはこういう短いシーンも丁寧に描いているため、ヒロインに共感できるのです。
クライマックスで長ゼリフが炸裂
この日のクライマックスは、紬が家でハンバーグを作っているときに、湊斗から電話がかかってくるシーン。ハンバーグは2人が付き合うことになった思い出の料理であり、「手でこねているから」と電話に出ようとしない紬を見かねた弟・青羽光(板垣李光人)がハンズフリーにして通話させる優しさを見せました。
湊斗は「家にフワフワのついたヘアピンの忘れ物があった」ことを伝えましたが、紬は「100均だから捨てちゃって」と切なさを隠すようにそっけなく返事。「じゃあ切るね」と言う湊斗に、「でもすぐに電話は切りたくないし、切られるのも嫌」な紬は湊斗を思う自分の気持ちを話しはじめました。
「家族みたいで一緒にいて緊張感ないっていうか、安心しきっちゃって」「それがね、居心地よかった」「戸川くんのこと、好きだったよ。この3年間ずっと一番好きだった人だよ」「知らなかったでしょ。まあ過去形だけどね。もう片想いでも両想いでもないけどね」などと約3分40秒にわたる長ゼリフでしたが、特筆すべきはこの間ずっと紬の1ショットであること。胸の内をすべてさらけ出すような長ゼリフを引き立てる演出で、視聴者の共感を誘っていました。
ここまでの放送を振り返ると、当作は毎回クライマックスのシーンに、感情があふれ出るような長ゼリフがありました。第1話では想が再会した紬に初めて手話で語りかける、第2話では想がスマホアプリを通して紬に過去の真実を語る、第3話では湊斗が想に「友達として病気のことを言ってほしかった」と伝える、第4話では湊斗が紬に別れを告げてそれを想にも伝える。
言葉でまくし立てるときもあれば、懸命の手話や無機質なスマホアプリのときもあり、涙や哀しげな姿を見せるときもありました。視聴者はさまざまな形で感情表現されているからこそ紬、想、湊斗のことが気になり、「もう一度見返してみよう」「早く次の回が見たい」と思えるのでしょう。
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