京急「黄色い車両大集合」、レア企画連発の背景 貸し切り仕様「新造車両」がツアーの幅広げる

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車両の細部にもこだわりをみせている。運転室越しに前面の景色が楽しめる「展望席」とその側面の細長い窓、ステンレス製の車体ながら溶接痕を目立たなくして、京急の伝統カラーである赤とクリームホワイトの塗装を施した。4両編成を5本導入しており、京急ユーザーにとっても日常利用で乗車する機会は多い。

京急新1000形1890番台「すみっコぐらし」ラッピング車
「すみっコぐらし」装飾の車両。いまや1890番台はキャンペーンに欠かせない存在に(記者撮影)

2022年5月には鉄道友の会が前年に営業運転を開始した車両から最優秀を選ぶ「ブルーリボン賞」を受賞した。同会は選定理由を「チャレンジングな姿勢と堅実性を兼ねそろえたトータルバランスに優れた車両であり、多くの会員の支持を集めた」と説明する。

毎月走る貸し切り列車

京急アドは「京急 楽・宴ツアー」と題し、1890番台を活用した日帰りツアーを2021年11月から毎月1回のペースで実施している。今回のデトフェスもこのツアーの一環で発案された。

ほかに「春キャベツの収穫体験ツアー」「乗務員体験&ダイヤグラム作成講座ツアー」「キリンビール列車」と、親子で体験を楽しめるコンテンツから“鉄分濃い目”のイベントまでターゲットとなる客層は幅広い。共通するのは貸し切り列車で出かける非日常感だ。

とくにデトフェスは、派手な見た目と裏腹に表舞台に出ることのない地味な役回りの車両を駆り出して、ファンの心をくすぐった好例と言える。「登場時から2010年ごろまでの懐かしの姿を再現するため、車両前面に『救援車』ステッカーを貼付」(発表時のプレスリリース)したり、救援機材コンテナの内部を公開したりと京急の担当者自身の熱量も伝わってくる。

同ツアー第1弾の「青首ダイコン収穫体験ツアー」から1年。企画はこれまで12を数える。2022年11月23日に実施する第13弾は京急蒲田―品川―京急川崎―小島新田―京急川崎と、本線から大師線に乗り入れる「クラフトビール列車」だ。参加者1人あたりクラフトビール6本を配り、「レア行程」を走る車内で軽食とともに楽しんでもらおうというこの企画、トイレ付き車両の実力を最大限にアピールする絶好の機会となりそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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