京急「黄色い車両大集合」、レア企画連発の背景 貸し切り仕様「新造車両」がツアーの幅広げる

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デト11・12は横浜市神奈川区の新町検車区に所属していて、不定期回送列車で出番は少ないが資材の運搬に神奈川新町―久里浜工場間を走る場面を見ることがある。

一方、デト15・16は久里浜工場隣接の車両管理区、デト17・18は新町検車区にあって異常時に駆け付ける救援車なので、事故復旧訓練以外で見る機会はないに越したことはない。「救援機材」と表示された荷台のコンテナには、ジャッキをはじめ脱線車両を線路に戻す際に使う器具などが収められている。横浜市金沢区の金沢検車区にはデトでなく救援用の軌陸トラックが配備されている。

京急の救援用軌陸トラック
救援用の軌陸トラック。緊急自動車の指定を受けている=2017年10月(記者撮影)

京急電鉄の広報担当者によると、デト11・12は導入当初、軌道工事の砕石運搬車としても使用された。「デト15・16とデト17・18はそれぞれデチ15・16とデチ17・18として定尺レールや枕木などを運搬する目的で、ホイストクレーンがついた車両として誕生しました。そのためデト11・12より荷台が広くなっています」という。

いずれも廃車となった旧1000形車両が活用された。その後、デチはレールや枕木を運搬する専用車両が入ったことで使用用途を変更、デトに改造されたという。救援車としては、かつてはクト1とクト2という700形や旧1000形に連結して走行する動力を持たない車両も存在した。

レア企画を担う新造車両

現在こうした「レア企画」を含め、貸し切り列車の運行を担っているのが、2021年にデビューした新造車両「新1000形1890番台」だ。同社で初めて、窓を背にしたロングシートと進行方向を向いたクロスシートのどちらにも転換できる座席を採用したのが特徴だ。

車内へのトイレの設置も同社初となる。バリアフリー対応の洋式と男性用の両方を設けた。さらに全席に電源コンセントを備えた。通常の営業列車のほか、通勤・帰宅時間帯の「座席指定ウィングサービス」、休日の貸し切りイベント列車と、幅広く運用することを開発段階から想定した。

京急新1000形1890番台
ツアー参加者を乗せて品川から久里浜工場に直接入線した「新1000形1890番台」(記者撮影)
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