岸田・麻生密談も波紋、政府与党に渦巻く疑心暗鬼 首相は支持率下げ止まり傾向で自信回復?

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欧米での異常な物価は、ウクライナ危機に端を発したエネルギー価格高騰が主要因。中でも過度なインフレが大幅な電気料金値上げで引き起こされたのは周知の事実だ。

これに対し、岸田首相は会見で、①電気、ガソリン、灯油、ガスなどへの集中的な激変緩和措置、②2023年度に引き上げ予定の電気料金の2割分負担、③1リットル当たり30円のガソリン補助金継続、などを打ち出し、「来秋までに1世帯4万5000円の家計負担減を実現する」と胸を張った。

岸田首相の持論でもある「ウィズコロナでの経済再生」への大きな一歩というわけだ。岸田首相は会見の中で「野党の意見も取り入れた」と得意げに売り物の“聞く力”もアピールしてみせた。

ただ、早くから政府にガソリンや電気料金の値下げを働きかけてきた玉木雄一郎・国民民主党代表は、「弱者に恩恵が行き届かない」と不満をあらわにした。また音喜多駿・維新政調会長も「総花的なバラマキ」と批判、さらに長妻昭・立憲民主政調会長も「昨年度と同様に今回の補正は規模ありきだ」と憤った。

一方、メディアも野党に歩調を合わせる報道ぶりだった。大手紙の政治・経済面や社説の見出しも、「巨額の痛み止めを盛る経済対策の危うさ」(日経)、「経済対策 内容より金額 財政悪化 円安助長の恐れ」(産経)、「一晩で4兆円増額」(読売)、「自民圧力 首相バラマキ 」(毎日)、「財政規律の喪失を憂う」(朝日)など、申し合わせたようにバラマキ批判を展開した。

「禁じ手には禁じ手で返した」とうそぶく萩生田氏

こうした批判は、補正の規模などをめぐる、政府と自民党の「仁義なき戦い」への不信感が背景にあった。自民党の政策責任者の萩生田光一政調会長が、総合経済対策を巡る政府・財務省との攻防を「禁じ手には禁じ手で返した」と公然とうそぶいたからだ。

萩生田氏ら関係者によると、問題になったのは、自民党が10月26日午後に経済対策の内容を詰めている最中の、岸田首相と萩生田氏の携帯電話でのやり取り。その中で岸田首相は補正予算の規模について、直前に鈴木俊一財務相から「25兆円」を提示されたことを伝えた。

かねて「30兆円超」を主張してきた萩生田氏は「今、議論しているところで、了承はしていません」と反発、党内論議の最中であることを知らなかった岸田首相も、あわてて「ごめんな」と謝ったという。

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