岸田・麻生密談も波紋、政府与党に渦巻く疑心暗鬼 首相は支持率下げ止まり傾向で自信回復?

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会議に戻った萩生田氏はすぐ、このやり取りを集結していた議員や官僚らに明かし、「党で経済対策の中身について議論をしている最中で、(首相に方針を伝える)財務省はマナー違反だ」と怒りをあらわにしてみせた。これには多くの議員も騒然となったようだ。

それを踏まえ、萩生田氏は出席していた財務省の担当官僚に対し「政策の責任をとるのは国民に選挙で選ばれたわれわれだ。結果の責任はわれわれが問われるんだ」と厳しく言い放ち、財務官僚は顔色を失ってうなだれる場面があったようだ。

状況を伝え聞いた岸田首相はあわてて、財務省に「景気の下振れリスクも考慮して、もう一度、規模を見直せ」と指示。これを受けて財務省幹部が急きょ萩生田氏に面会を求め、約4兆円の積み増しを提案、「29兆円規模」の予算額がまとまった、というのが経緯とみられている。

騒動自体が猿芝居だった?

政府与党内にもこうした「財政規律を無視した規模ありきの論議」(財務省)への批判もあった。自民党4役の一角の森山裕選対委員長は、英国のトラス前首相失脚の要因となった、「財源を明確にしないバラマキ政策が英国通貨ポンドの信認を失わせた」ことに絡めて、強い懸念を示した。

こうした政府与党内の軋轢や混乱が、旧統一教会問題だけでなく物価高騰対策やコロナ対策で「すべてが後手後手」と批判される岸田首相や官邸チームの機能不全を、国民レベルにも露呈する結果となったのは間違いない。

ただ、騒動が起こった翌日の10月27日夜には、都内で開かれた自民党政策担当幹部のパーティーに鈴木財務相や山際氏後任の後藤茂之経済再生相ら関係者が顔をそろえて談笑していた。関係者の1人は「騒動自体が猿芝居だったのでは」と苦笑していたという。

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