「円安のデメリット」ばかりが叫ばれる背景事情 円安が物価上昇の要因というのは間違いないが…

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円安にもメリットがあるにもかかわらず、デメリットばかりが叫ばれる背景には、やはりコロナの影響があるのかと思います。

前述のように、円安になれば訪日外国人観光客が増えることが期待されますが、コロナ禍においては水際対策の一環として入国制限をしていましたから、どれだけ円安が進めど外国人観光客は増えませんでした。つまり、円安のメリットが享受できない環境だったのです。他にも円安のメリットが語られない要因は考えられます。それは、2011年前後に生じた急激な円高局面で、多くの輸出企業が生産拠点を海外に移したことにより、逆に今回の円安局面ではメリットを享受できないケースが多発したということもあります。

このように、円安のメリットを享受しにくい状況下ではデメリットばかりが目立つため、結果として「悪い円安論」を喧伝するメディアや有識者が増えたということなのでしょう。そして、もう少し穿った見方をすると、「円安にはこれだけデメリットがあるのだから解消しましょう」という展開にして、「解消するためにこうしましょう」という提案をすることでそれに賛同する人を増やして世論形成、世論誘導したいという思惑があるのかもしれません。

マクロ経済の観点では好まれる円安

円安のメリットとデメリット、そしてなぜ円安のデメリットばかりが喧伝されているのか。それぞれについて確認してきました。ここまで読んでいただいた方ならデメリットが重点的に報じられた背景に納得できたところもあるでしょう。しかし、それでも円安のデメリットばかりを報じることには違和感しかありません。筆者の専門はマクロ経済ですが、その観点からすれば円安は日本経済にとってはプラスの影響が大きいと考えているからです。

このような意見をネット動画で配信したところ、SNSで「円安が日本経済にプラスというのは、あなたの感想ですよね?」などをはじめ、かなりの批判的な意見をいただきました。しかし、残念ながら筆者個人の感想であるだけでなく、国内でも海外でもそのような計算結果は出ているのです。

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