「円安のデメリット」ばかりが叫ばれる背景事情 円安が物価上昇の要因というのは間違いないが…

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他にも日本に来る外国人からすれば、円安になると自国から持ち込んだお金を日本円に両替したときにたくさんの円を受け取ることができますから、訪日外国人観光客が増える可能性があることも円安のメリットといえるでしょう。

それでは、円安のデメリットとはなんでしょうか。外貨に対して円の価値が下がるのが円安だと考えればわかることですが、海外から輸入をするときに必要となる円が増えてしまうのです。海外から1ドルのものを輸入するときに、1ドル=100円のときは100円で輸入できますが、1ドル=200円だったら、200円必要になると考えれば簡単に理解できますよね。

このように、円安にはメリットもデメリットもありますし、立場によって円安がいいことであると感じる人もいれば、円安は困ると考える人もいるということです。何度も繰り返しますが、メリットとデメリットの両方をつねに意識して、明らかにどちらか一方にかたよった情報に振り回されることがないようにしましょう。

逆に「円高のメリットとデメリットは何か」と気になる人がいるかもしれませんが、これは円安のメリットとデメリットを反対にして考えてもらえればと思います。

なぜ「悪い円安論」が叫ばれるのか?

円安の報道が増えると同時に、もうひとつ頻繁に報道されていたことがあると思いますが、何かおわかりですか。それは「値上がり」です。これはみなさんも実感があるのではないでしょうか。筆者も自分でご飯を作ることも多く、子どもたちと出かけたりもするので、頻繁にスーパーやコンビニに行って買い物をしますが、本当にいろいろなモノの値段が上がっているなと実感します。

モノの値段が上がっても、給料が同様に上がっていけばそれほど大きな問題はありませんが、ご存じのように日本では多くの人の給料がほとんど上がっていません。そのような状況下でモノの値段だけが上昇すれば、当然家計は苦しくなりますし、少しずつ不満も積もっていきます。国民の不満が高まれば犯人探しが始まりますから、メディアはその犯人を集中的に報道して視聴数などを稼ぎにきます。

為替レートはさまざまな要因で動くという話をしましたが、モノの値段も同様です。さまざまな要因でモノの値段も変化していきます。今回の物価高の理由も複数あるのですが、いくつか紹介しましょう。ひとつにはやはりコロナの影響が大きいと考えます。新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に起こるなかで、日本では緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、行動制限がかかりましたが、海外ではさらに強制力が高いロックダウン、いわゆる都市封鎖が行われるなどしました。

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