子を寝かしつけながら「漫画を爆読み」私の育児道 「出産したら自分の時間がなくなる」は本当か

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というかそもそも、私はあまり友達が多くないのもあるかもしれない。友達がいっぱいいる人はもっと辛いんじゃないだろうか。悲しい事実に気づいてしまったが、むしろ友達が少なくてよかったかもしれない。いやごめんそれは嘘。友達は普通にたくさんほしい。バーベキューとかちょっとしたパーティに呼んでほしい。

漫画や飲み会など、ある意味やらなくても死なない娯楽については先ほどの通りだが、では自分の人生で「真」に譲れないもの。仕事だったり夢。そういうのを追いかけることについては、どうだろうか。

たとえば私は、幼い頃から文章でどうにかなりたくて、ライフワークのように文章を書き続けている。この原稿はまさに、自分のやりたいことそのものである。

子どもを生むまでは、気分が乗らなければパソコンを開かず、1文字も書くことなく過ごす日も多かった。しかし産後。思うように時間が取れない中で、急にボーナス的に降ってくる「自由に使える時間」。そのありがたみを痛烈に感じ、たとえ5分、10分のわずかな時間でも、余すことなくマックスパワーで使ったる! という気概で臨むようになった。時間を大切に使うことができるようになったという、嬉しい変化である。

母になっても、なんとか「自分の人生」を生きている

しかし一方で私は「子どものためなら自分の時間なんていくらでも犠牲にできる!」なんて広い心を持っているわけじゃない。 唐突に「うわ〜、何もかも忘れて昼から日高屋でバクダン炒めをつまみに泥酔してえ〜!」という激しい衝動に駆られることもある。いつ連絡しても飲み散らかしている友人を見て、うらやましさを感じないとは言い切れない。

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でも子どもとの時間は、子どもがいないときに楽しんでいたさまざまな娯楽とはまったく違う種類の高揚感を得られる。それはそれで、日高屋で豪遊するのとはまた別の楽しさがある。だからどちらか一方を選べと言われても、選べないなぁと感じる。どちらもそれぞれ楽しく、横並びに語ることができないのだ。

出産したら、子どもに人生を捧げなければならないのか。まだ1年しか育児をしていない私は、この問いに明確な答えは出せない。でも今のところ、子どもとの新鮮な毎日の中に楽しみを見つけながら、なんとか「自分の人生」を生きている。

しり ひとみ 会社員ライター

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しり ひとみ / Hitomi Shiri

才気煥発な企画力と、笑いを巻き起こす文章力で人気を集める。2019年にnote記事「住んでるマンションを退去したら被告になった話」がオモコロ杯で佳作を受賞し、SNSで話題となる。その後、「エキサイトニュース」、「デイリーポータルZ」、「マイナビウーマン」、「LINE MUSIC」など数々のメディアで執筆。ペンネームは「ひとみしり」を並び替えたものだが最近克服しつつあり、「本当に人見知りなんですか?」と聞かれるたびに「すみません」と思っている。本書が初の著書。

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