ウクライナ居住不能にするロシアの「兵糧攻め」 インフラ大量破壊で「耐えられない冬」に
ロシアは今回、初めて無人機を多用。その多くはイランから購入したもので、目標物に体当たりして弾頭を爆発させる。ウクライナ軍は無人機の大半を撃墜したと主張しているものの、相当数の無人機が防空網を突破して大きな損害をもたらしているため戦術の見直しを迫られている。安価な無人機は大量に放たれるのが普通だ。
ウクライナが徹底した対無人機作戦の策定を急ぐなか、地上では高性能ミサイルから兵士のライフル射撃に至るまで、あらゆる種類の対空砲火がにわかに新たな重要性を帯びることとなった。
北大西洋条約機構(NATO)諸国はウクライナに対し無人機に有効な防空システムを供与してきたが、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は18日、追加供与を数日中に行う計画であることをベルリンで行われた会議で明らかにした。
ロシアは「ウクライナ社会の破壊」に傾斜
爆撃被害を受けている都市の1つであるキーウでは18日、ドニエプル川東岸の地区で爆発が起きたとビタリ・クリチコ市長は述べた。当局の発表によると、この攻撃で少なくとも5人が死亡し、市内の一部で電気と水道が止まった。
クリチコ市長は「重要なインフラ設備」が攻撃されたと述べたが、詳細は明らかにしなかった。大統領府のキリーロ・ティモシェンコ副長官は、あるエネルギー施設が少なくとも3回の攻撃を受け「深刻な被害」が生じたと語った。
ロシアが無人機の使用を増やし、対空ミサイルで地上の標的を攻撃するなど武器弾薬を本来とは異なる用途に用いるようになったことは、精密誘導ミサイルや弾道ミサイルが足りなくなってきていることを示唆する動きだと西側の軍事アナリストはみている。ロシアはこれまで、長距離攻撃では精密誘導ミサイルや弾道ミサイルを好んで使用していた。
ウクライナ政府と同盟国の当局者によると、ロシアが新たにウクライナの都市への砲撃に力を入れるようになったことは、ウクライナ軍を打ち負かせないクレムリン(ロシア大統領府)が、ウクライナの社会を破壊し、抵抗する意思を打ち砕く作戦にかじを切ったことを示している。
(執筆:Megan Specia記者、Andrew E. Kramer記者)
(C)2022 The New York Times
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