ウクライナ居住不能にするロシアの「兵糧攻め」 インフラ大量破壊で「耐えられない冬」に
前線近くの町から首都の高層ビルに至るまでウクライナの人々は10月18日、電気、水、暖房をまともに使えない状況に置かれた。民間人やインフラを標的とするロシアの砲撃が続くなか、何百万人もの国民が基本的なサービスを利用できずに厳しい冬を迎えるおそれが出ている。
ロシアの激しい砲撃は、戦争が新たな局面に突入したことを告げるものだ。ロシアはウクライナ侵攻当初から民間人やインフラを攻撃してきたが、ここにきて前線から離れた都市への長距離攻撃を急激に拡大。重要インフラを重点的に破壊することで新種の人道危機をもたらそうとしている。
ライフライン損傷で上昇する「冬の死亡リスク」
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は18日、ロシアによる10日以降の攻撃でウクライナの発電所の30%が破壊され、「国中で大規模な停電」が起きていると述べた。住民は節水や省エネを強く求められているが、求められなくてもそうせざるをえない状況にある人々もいる。商店などは照明看板の電源を落とし、夜間に広告が照明で照らされることもなくなっている。
ウクライナ政府のオレクシー・チェルニショフ地域発展相は、この間にウクライナでは45のエネルギー施設を含む408カ所が攻撃されたと語った。家庭や企業に暖房用の蒸気を送る火力発電所も数多く攻撃されているという。
「家屋が破壊されたり、インフラの損傷で燃料や電気が使えなくなったりして暖をとれなくなれば、生死に関わる問題となりかねない」。世界保健機関(WHO)のヨーロッパ地域事務局長、ハンス・クルーゲ氏は14日、そう指摘した。
国連ウクライナ常駐調整官のデニス・ブラウン氏は18日、CNNの取材に答え、こうした破壊行為により「冬の死亡リスクは高いものになる」おそれがあると話した。