トヨタ式「紙一枚」で問題を解決するスゴい技 「見せて伝える文化」がしっかり根付いている

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みなさんと共通認識にしておきたいことは、8つのSTEP全体を通じて読み取れる次のポイントだけでOKです。「問題の明確化」「真因(とりあえずは真の原因といった理解で大丈夫です)の分析」「対策の立案」……等々。

要するに、この8STEPは「問題解決手法」のことなのです。したがって、「トヨタにおける仕事とは何か?」の定義は、次のひと言で要約することができます。

TBP=トヨタにおける「仕事=働く」とは、「問題解決」である

どうすれば周囲の問題を解決し、世のため人のために貢献していけるのかについて、8つのSTEPを踏めば実践できるよう明文化されている。しかも、書店のトヨタ本コーナーに行けば、だれもがこの叡智にアクセスできてしまう。これは誇張でも何でもなく、日本が世界に誇る無形文化遺産だと思うのですが、いかがでしょうか。

「教え、教えられる」から「自ら学び、教える」時代へ

私が受けた当時のTBPに基づく問題解決の研修では、2人の講師が講義を担当しました。

1人目は、グロービスというMBAが取得できる日本最大のビジネススクールの先生。途中からは、ひと回りほど年次が上の先輩社員です。

トヨタには「教え、教えられる」といったキーワードで形容される企業文化が根づいていて、社員同士が教えてもらったり教えたりすることが、時間のムダではなく、大切な仕事のひとつとして位置付けられています。

だからこそ、社会人教育のプロフェッショナルであるグロービスにすべてを任せるのではなく、社員自身が教える力を高められるようにも設計されているのです。

ちなみに、このときから数年後、私は米国トヨタで勤務する機会があったのですが、現地で垣間見た仕事のひとつに「T3」と呼ばれるものがありました。これは、「Train The Trainer」の略で、意味は「トレーナーを養成するトレーニング機会」。要するに、「教え、教えられる」の海外版も存在するということです。

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